「情報戦はもう一つの戦争といわれるほど重要なものですが、傾注すればするほど膨大な情報が舞い込み、玉石混同となります。その中から光る・・・つまり真の利用価値のある情報を見つけ出すか否かは受け側の力量にかかっているわけです。送り手は値千金と思っても、実際は使えないという情報もあります。」
(ストーリー)
スペイン・マジョルカ島に日本の新聞記者がミゲル・オストスを訪ねてきた。マンハッタン計画(アメリカの原爆開発)についてのE工作という日本の諜報活動について聞きたいとやってきたのだ。ミゲルは記者を殺害して、島を出た。CIAはその情報を掴み、四代前の室長フランク・シンプソンが結んだ契約を履行することになった。その契約の相手とはゴルゴだった。ミゲルは日本に来た。
E工作とは、日米の混血児タダシ・ヘンダーソンやミゲルが関わっていた。ソ連が参戦する前に原爆を投下し、戦後処理の問題でソ連のスターリンに主導権を握らせないこと、そして黄色人種である日本に投下するのは人体実験としての意味があった。そしてタダシはマドリードの日本大使館経由で東京へ暗号を発信したのだが、日本は悉く無視し続けた。タダシは原爆情報を日本に送ることで、無駄な犠牲者を出さずに済むと考えていた。
タダシは日本へ出向き、日本の外務省に勤める父に話をすると、スペイン籍の貨物船に乗る寸前に消息を絶った。FBIの手で消されたとミゲルは考えた。しかし最も悪い人間は、ミゲルの情報を握りつぶした人物。それがミゲルの本当の父親であった剣持であった。
ある宴で剣持とミゲルは再会をする。剣持によれば、E情報は、終戦を求める和平派を力づけてしまい、内乱を勃発させ、国内秩序は崩壊していただろうと。ミゲルは剣持を殺害しようとするが失敗。しかし剣持をゴルゴは狙撃した。CIAの四代前の室長シンプソンは、実はタダシ・ヘンダーソンであり、ミゲルのために、実の父親の殺害をゴルゴに依頼していたのだ。
(解説)
「”E”工作」の一幕である。上記は剣持の台詞で、暗にE情報のことを言っている。原爆の開発そして日本への投下は、日本の降伏を早めることにつながると考えていた息子のタダシと、和平派を力づけることで戦争継続派との内戦を引き起こし、さらに国力を低下させ、連合軍の支配をより強めることになるという父親剣持の判断のことであり、送り手がどんなに優れた情報であっても、受け手によっては必ずしも利用価値のない情報であるかもしれないということだ。
逆に、どんなに送り手に取ってつまらない情報であっても、それを受けた方が自分の持つ他の情報と組み合わせたり、あるいは今のビジネスに生かせることがあるかもしれない。ある会社の休眠特許は、別の会社にとって宝のような特許かもしれない。
情報をどのように感じ取るかは受け手次第である。
[教訓]
〇情報は受けて次第。発信者が意味があると思っても受信者が意味がないと思うかもしれないし、発信者が意味がないと思っても受信者が意味があると思うかもしれない。
〇仮に同じ情報であって、同じ受信者だとしても、長く情報を渡していれば、そのうち、受信者が必要だと思うタイミングが来る。
それが適切な時期に、適切な情報の意味である。大量オンエアをすれば、適切な人に情報を提供できるチャンスが広がる。