「・・・いかにあなたと言えども、正面から攻めるというのは、困難だと思います・・・そこで、あなたには、ぜひ彼の懐に入り込んでいただきたい。つまり、”敵の敵は味方”という心理を利用してほしいのですよ。」
(ストーリー)
南アフリカ共和国では1994年の4月に全人種が参加して行われた選挙により、黒人のマンデラ大統領が就任した。
ヨハネスブルクにゴルゴが到着した。トランクの中身が工作機械部品だと言うが、組み立てると銃になり、拘束されるも、脱出する。
マンデラ大統領は黒人を虐待してきた白人を許さなければ南アフリカの再生はないと考えていた。黒人主導の支配は、技術が育たず経済は停滞し、人民は貧困に苦しんでいる。しかしテロで国家を転覆させようとするアフリカーナ―国民戦線だけは許せない。この壊滅をゴルゴに依頼した。
ゴルゴはアフリカーナー国民戦線の兵士に志願。夜に同じ部屋の隊員を気絶させ、アフリカーナ―と共闘するズールーの部隊が戦線と合流するのを見計らい、部隊をせん滅させた。資金を提供したのに、恩を仇で返したと国民戦線のリーダーであるニコラスは思ったが、どうやら部隊は、戦闘でではなく兵士一人に殺されたようだという。ゴルゴが施設から姿を消したため、ゴルゴに部隊を差し向けた。
アフリカーナー国民戦線はただの部隊ではないと察知したゴルゴはマンデラに会い、政府内で戦線を支援する裏切りがあることを伝える。それはマンデラの友カベク大臣であった。ゴルゴはヘリに乗る国民戦線の上層部を殺害し、カベクは心臓麻痺で死亡させる。
(解説)
「南ア革命・アマンドラ・アウェトウ 力は我々にあり」の一幕である。アフリカーナ―国民戦線のアジトは自然の要害に囲まれ、正面からは攻撃が困難である。そこで、敵の敵は味方、つまりアフリカーナ―の敵である黒人の敵は、自分たちの見方だと思わせて、国民戦線に参加する兵士として潜入した。
業界第一位に対抗するために、業界第二位と第三位が共闘したり、合併することがある。これはそのまま戦っても歯が立たないためであるが、まさに敵の敵は味方という例だろう。共通の利害があるというだけでも、お互いが懐に入りやすいものだ。
[教訓]
〇敵の敵を味方につけ、強大な敵と戦う手段とせよ。