「それにしても・・・よくもあれほどそっくりな娘を見つけてきたものだ・・・まるで、ミーナと、この娘は同一人物だ・・・ミーナなら髪を染める程度で堂々とアンジェラ・カーになり切れるだろう・・・やっとペンタゴンの内部まで、我々のアンテナを送り込むことができそうだ・・・」
(ストーリー)
ソ連において、ある女性が国家にはめられてスパイ教育を受けることになった。派遣先はアメリカである。この女性ミーナは、実はペンタゴンのある女性職員とそっくりで、KGBはミーナをその女性職員にさせて、アメリカのスパイを行わせるつもりであった。
そこではアメリカの女性になり切るためのアメリカ文化に関する勉強も徹底的に行われた。部屋もアメリカだし、服もアメリカ、聞く音楽はアメリカの音楽だし、読む本はアメリカの本。生活そのモノさえもアメリカに染まる訓練である。そしてなぜか、KGBのスパイ養成所にゴルゴがいるのだった。
(解説)
「MOSCOW DOLL」の一幕である。アメリカは多人種国家であり、それがよさでもあるのだが、顔の違いで外人か外人でないかということがわからない。つまり、スパイかスパイでないかという想像すらつきにくい国である。日本においても、最近、中国人が多く入り込んできているが、その多くは普通のビジネスパースンではあれど、ひょっとして産業スパイの可能性も否定はできない。
外人をみたら敵だと思え、というのは究極的な排外的思想であるが、当時のソ連とアメリカのスパイ合戦をみると、それくらいの気持ちをどこかで持たなければ、国家機密を守り切れないような状況だったのではないかと想像できる。
さて、ペンタゴンと言えば、アメリカ国防総省であって、軍隊の中枢である。アメリカ軍の動向を知るためには、これほど重要な場所はない。そうはいっても、省内に勤める職員がありとあらゆる情報にアクセスできるわけではない。権限次第によってアクセス権は大幅に異なる。でも近くにいるに越したことはないし、チャンスも生まれるだろう。
ビジネスにおいては、お客様の心の中がペンタゴンと言えよう。顧客ニーズを捕えるためのアンテナを持つことが重要である。
[教訓]
〇顧客ニーズに感度を合わせろ。要するに、顧客の視点を持つこと、内部から観察することが重要である。