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起業家は諦めの入場券は持たない

「幼年学校を卒業してまだ二年しかならないけど、キルヒアイス、お前がいてくれなかったら、俺はもう5、6回は冥界の門をくぐっているな」
「ご存じですか、ラインハルトさまは冥界の門に着くまでは回数券を持っておいでですが、入場券はお持ちではないのですよ。だからどんなに危ない目にお会いになっても、死ねないのです」
「へえ、知らなかった。そいつは都合のいい話だな」

(解説)
ラインハルトは、キルヒアイスに対して、何度も危機を救ってくれたことに感謝した。それに対して、キルヒアイスは冥界の門に就くための回数券は持っているが、入場券は持っていないために死ねないと返した。実際はラインハルトは若くして病死、キルヒアイスはラインハルトを庇って死んだというのは銀英伝の読者の知るストーリーではある。

人間の免れないもの、それは「死と税金」であるという。税金は死ぬまでまとわりつく。貧乏人は相続税はかからないで済む。しかしお金持ちも貧乏人も「死」は確かに免れない。どんなお金持ちになって、高度医療を施すことができても、多少命の長さを延長することはできても、限界がある。税金はお金持ちに辛いが、死に関してはお金持ちも貧乏人にとっても唯一平等と言えるものなのかもしれない。

さてさて、これを起業家の視点で見てみれば、起業家にとっての死は、会社の倒産と言える。但し、ルール上、一度死んでも敗者復活戦はある。とはいえ、一度会社を潰してしまうと、地獄なほど、その復活は困難なものとなる。3日で復活を果たせればよいが、最低でも3年ぐらいはかかりそうだ。

ビジネスが危機的に陥る状況は何度も訪れる。しかし、本当に倒産するというのは、どういう状況かというと、銀行や取引先から見捨てられるから、倒産ではない。起業家が諦めてしまうことが本当の倒産である。危機的な状況へ達する回数券は無限に持っている。しかし倒産への切符は、持っているのだが、ビジネスの冥界の門の前で、それを使うも破くも、経営者にその選択肢をゆだねられている。倒産とは、他人から起こされるものではない。経営者自らが起こすものである。誰から罵られようと、絶対にやり切るという強い意志を持てば、会社は潰れない。ましてやあなたのビジネスが潰れることは絶対にないのだ

(教訓)
〇経営者は、失敗の回数券は持っているが、諦めの入場券は持たない。
〇経営者が諦めると思うから倒産するのであって、諦めなければ倒産はしない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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