故に勝者は威を全うして、これを身に謀り、地の形勢を知りて、預言すべからず。これを譲してその特質を知り、これを詐きてその安危を知り、これを計りてその多寡を知り、これを形してその生死を知り、これを慮りてその苦楽を知り、これを謀りてその儲うるを知る。故に兵は生に従いて死を撃ち、実を避けて虚を撃ち、山陵の戦いはその高さを仰がず、水上の戦いはその流れに逆らわず、草上の戦いはその深きに渉らず、平地の戦いはその虚に逆らわず、道上の戦いはその弧に逆らわず、この五者は兵の利にして地の助くるところなり。
(現代語訳)
勝者は、全軍に威令貫徹して、戦場となる地勢を把握し、作戦計画を立てる。味方の体制を整えるために、敵情をしっかりと把握しなければならない。それは次の方法による。
これだけ情報を集めれば、味方は有利な地形に布陣し、不利な地形に布陣した敵を撃つことができる。また、戦力の充実した敵を避けて、相手の隙につけ込むことができる。戦い方は地形に応じて異なる。
それぞれの地形にあった戦い方をすれば、勝利を収めることができる。
(解説)
マーケットに参入するときに、最初から考えた自社製品をそのまま展開するのではなくて、競合他社の動向を見つつ、差別化を図り、自社製品を改良してからサービスインする方法がある。自分が考えた製品等、大抵どこかの誰かがすでに販売している場合が多い。それが自分的には異なるかもしれないが、潜在顧客が見たときにその差別化がわからないことはよくあるのだ。
全くこの世にない製品であれば、ニーズがないというだけかもしれない。機能としてはよくあるが、デザインが異なるとか、既存の他社製品と異なれば、その方が全く新しい機能の商品よりは販売可能性が高まる。
また、競合他社の製品を分析すると、その製品のデメリットが見えてきて、それを顧客に対するメリットに帰ることができれば、市場シェアをひっくり返せるかもしれない。いわゆる後出しじゃんけんだ。
それに競合他社の製品を自社と比較してその差別化を図ることで、顧客に対するアプローチも決まってくる。まずは敵情分析から始めよう。
[教訓]
〇マーケットに参入する前に敵情分析から始めよ。
〇競合他社製品を分析すれば、そのデメリットを発見し、それを改善することで市場シェアをひっくり返すこともできる。後だしじゃんけんは強いのだ。