智将と呼び、猛将と言う。それらの区分を越えて、部下に不敗の信仰を抱かせる指揮官を名将と称する。
この段階に至って、もはや勝利はない。しかし、負けずに済む、ということは可能なのだ。
(解説)
智将とは、はかりごとや戦略・戦術に優れた将軍のこと。猛将とは、強くて勇気のある武将。名将とは軍事指揮官のうち、多大な功績をあげたものをいう。
平たく言えば、智将は頭がいい奴、猛将とは強い奴、名将とは結果として実績を上げた奴、ということになろうか。かなりひいき目に見るが、智将は諸葛亮、猛将とは関羽と言うイメージだ。それでは名将は劉備になるかというと、個人的には曹操ではないかと思ってしまう。
しかし部下に不敗の信仰を抱かせる、というと、諸葛亮は勝ちはしなかったが、少なくとも負けてはいない。そのような枠組みで考えれば、諸葛亮は名将と言えよう。そんなこと言ったら、曹操は智将でもある気もする。
野球やサッカーでも智将だの名将だのはいるが、そもそも戦力が異なれば、結果、強い方が強いし、弱い方が弱いに決まっている。だから、結果を出しているから、即ち名将とも言えない。そうはいっても、尺度がないから、結果を出しているかどうかでみるしかない。
戦力的には、三国志時代の魏と蜀は5~7:1と言われている。そんな中で魏は持久戦さえ行えば絶対に負けることもなかろう。だから絶対的な戦力差の中で常に引き分けた諸葛亮のすごさが目立つといってよい。
勝利はなくとも負けなければいい。石橋をたたいているといわれようが、戦力差が圧倒的であれば、やむを得ない。劣勢であれば引き分けでも勝ちに等しいと考えざるを得ない。
ビジネスにおいても、最初から勝つことを想定するのではなく、まずは生き延びることを考えればいい。ラッキーパンチはどこかで訪れる。それをひたすら耐えて忍ぶ。そこに勝機はある。だから名将とは、常に負けないことを想定し、ラッキーパンチで利益を拾える経営者なのだ。一発大逆転を狙っている奴は、名将ではなく、単なるギャンブラーである。
(教訓)
〇負けないことを心がければ、とりあえず勝てなくても負けはしない。
〇普段負けずに、生き残れば、どこかで勝てる。それを必死に拾っていけばいい。そうすれば、最終的には勝っていられる。