ミッターマイヤーは、ラインハルトに三つの点で任務に失敗したことを謝罪した。自治領主ルビンスキーを捕えそこねたこと、同盟弁務官ヘンスローを未だに捕らえていないこと、そして、同盟弁務官事務所のコンピューターから同盟に関する情報を得られなかったことがそれであった。ラインハルトは一瞬、眉をしかめたが、すぐに表情を穏やかなものにした。
「究極に、とはなかなかいかぬものだ。卿にできなかったとあれば、他の何人にも不可能だろう。謝罪の必要はない」
(解説)
最終的な目標は、同盟への侵攻にあり、大きく目標を達成していれば、小さな目標はどうでもいい。しかも多少間違いがあってもかまわない。それくらいどっしり構えられない経営者は、経営なんてしない方がいい。もっとも、その間違いが致命的になるとか、顧客に迷惑がかかるとか、そういうのはダメだ。それは、目標達成にはなっていない。
全て完璧に、究極に、とはいかなくて当たり前である。ましてや大きな目標を達成するにあたって、小さな目標を棄てる必要もあるだろう。時間的な制約もある。
もちろん、失敗したことがあれば、それはすべて報告事項になるし、時間的制約があるのであれば、別のスタッフにやらせてもいいだろう。
まずは、大きな目標の達成に対して、部下をねぎらうこと、仮にできていないことがあったら、「あなたにできないのであれば、他の人はできないから気にするな」と言ってあげるのが、優れた経営者としての言葉だ。
重箱の隅をつつくように、あら捜しをするのは経営者の仕事ではない。なぜできなかったんだと責めるのも経営者の役目ではない。もし大きな目標を達成した部下が、小さなことができていなければ、そんな細かいことまで指示した経営者が悪いだけだ。
(教訓)
〇最終目標さえ達成していれば、小さなミスなど問題視するな。
〇重箱の隅をつつくのは経営者の仕事ではない。
〇「あなたにできないのであれば、他の人はできないから気にするな」と言って、部下の労をねぎらえ。