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いつもと異なる方法を取るときには、チーム全体で事前確認をせよ

「宮廷医が、既に皇帝の寵を失った女の元へひそかに赴く、か。卿はどのような理由をそこに見出す?」・・・
「夫人から医師に流れるのは金銭。これは疑いようもありません。逆方向に流れるのは、情報と技術、これも確かですが、問題はその内容でしょう」・・・
「そうだ。それを私も知りたい。いずれにしても、堤防に穴が空くとすれば、医師の方からだろう。彼を窮地に追い込み、夫人との関係を割く方法があればよいのだがな」
「であれば、一つ策があります」
「どのような?」
「正々堂々たるものではありません。狡知、詭計に類するものですが、それでもよろしいですか?」
かまわない、と、ラインハルトは答えた。竜を撃つときと蛇を捕える時では、異なる戦い方があるはずだった。
「では申し上げます。宮廷や貴族社会において最強の武器の一つは、中傷、流言、醜聞の類です」
無言の頷きで、ラインハルトは賛同の意を表した。
「そして貴族たちは、不名誉な噂ほど喜び、また信じたがるものです。こう申し上げればお判りでしょう」

(解説)
ラインハルトの他にキルヒアイス、ロイエンタール、ミッターマイヤーが介していたときに、ラインハルトの姉アンネローゼをベーネミュンデ公爵夫人の手から守るために、話し合いをしていた。そのときのロイエンタールとラインハルトの会話である。

医師と公爵夫人の仲を裂ければ、アンネローゼの身が守れると考え、ロイエンタールがその作戦を披露するにあたって、詭計だが良いかということをロイエンタールはラインハルトに確認をした。この際、綺麗だとうと穢かろうと、姉は守らなければならない。そして、敵によって、戦い方が異なることもまたやむを得ない。

しかし宮廷や貴族社会の最強の武器は、中傷、流言、醜聞という。さらに、不名誉な噂ほど喜び、嘘でも信じたくなる。何だか、芸能界のようなものだ。火のない所に煙は立たぬとは言うが、火のない所にも煙を立ててしまって、炎上してみんなで喜んでいる。

それはさておき、普段と異なる作戦を用いる際には、事前確認をしておいた方が良い。突然異なった作戦を用いると、違和感が起き、腑に落ちず、成功しないときがある。

(教訓)
〇敵によって戦い方を変えろ。
〇普段と異なった作戦を用いる時には、関係者は情報共有をしておけ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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