宮本武蔵に学ぶ、
「人を斬るとき、無理に強く斬ろうとすれば、かえって斬れないものである。」
「誰でも敵と切りあう時、弱く斬ろうとか、強く斬ろうとか考えるものではない。ただ敵を斬り殺そうと思うときは、強く斬ろうとも思わず、もちろん弱く斬ろうとも思わない。どうしたら敵を殺せるかと思うだけである。」
「強い力を込めた太刀で、相手の太刀を強く打てば、張り余って体勢が崩れ、悪い結果が生じるものである。」
(解説)
剣で斬るときに意識をしすぎるなということだ。つまり強く斬ろうと思っても、弱く斬ろうと思ってもいけない。人を斬ることのみに集中せよ。強く斬ろうと思うだけで自分のバランスを崩す。
ビジネスをやっていると、どうしても閑散期と繁忙期というものはある。それらは業種ごとに異なる。一般に飲食業は1月、2月、8月が閑散期と言われているものの、田舎ではお盆の帰省のために8月が繁忙期となる店舗や、年末年始の蕎麦屋等、必ずしも当てはまらないケースがある。
小売業であれば、クリスマスや年末商戦があり、12月が繁忙期と言われる。それを見越して製造業では11月に繁忙期が訪れる。サービス業であれば、年末年始、ゴールデンウィークの大型連休時期、夏休みシーズンの7月、8月、地域によっては3月、4月の卒業旅行シーズンも繁忙期になる。ちなみに会社内でも部署によって異なり、例えば経理は月末が忙しい、決算の時期が忙しい等がある。税理士業界は年末調整の時期や、確定申告の時期、3月決算の会社の申告時期(5月~6月)が繁忙期である。一日の時間だって閑散時期と繁忙時期がある。飲食店であれば、昼時とディナー時は忙しいが、その他の時間はまるで客が来ない、というケースが多い。行列ができる飲食店でなければ。
それが無理に強く、弱く意識して斬ることと何の関係があるのか、と言えば、繁忙期と閑散期をいくら平準化させようと努力したところで、ほぼどんな試みも上手くはいかない。当然、色々なサービスにおいて、閑散期の割引、居酒屋でも夕方5時から6時まではビール代半額等を行って、一定の成果は上げている。但し、それほど効果的と言うわけではない。やらないよりはましだと思うが。少なからず繁忙期と閑散期をならすほどの効果はないのだ。
例えば、フットサル場の運営において、どうしても利用は仕事が終わった7時以降。土日に偏る。どうもがいても仕事始めの月曜日にお客が溢れたためしがない。月曜割引をやったところで全く響かない。また、普段の日の午前あるいは午後に、その時間帯に向けて、夜勤をしている人にコートの利用をどうですかと言ったところで丸でダメ。それであればフットサル場を、例えばバスケットコートにとか屋内テニス場になんて考えて告知しても、かえって何の施設かわからなくなって逆効果になる。正月に年始球けりなんて企画したところで誰も来ない。
要するに、業界の常識を変えて、閑散時期を一生懸命に、客が来るように仕掛ければ仕掛けるだけ、労力の無駄となってしまう。無理に売り上げを上げようと思わないで、休むときは休む、お客様の時間の流れに自然に乗ればいい。
全ては自然が一番だったということなのだ。まさに売上を上げようと思って無理をしたら、広告宣伝費がかかって、それをカバーできる売り上げが上がらなかった。力余ってこけたような感じだ。
[教訓]
〇業界、あるいはその地域の人の流れに逆らっても損をするだけだ。ここは腹をくくって、繁忙期と閑散期を平準化するのをあきらめるのが良し。
〇無理をしない、頑張りすぎない、力をこめすぎない。自然の流れに乗ることが一番なのだ。