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弱者が強者に確実に勝つ方法

宮本武蔵に学ぶ、

「他流に大きな太刀を好む流派がある。我が一流の兵法から見れば、この流儀を弱者の兵法と見立てるのである。」

「その理由は他の流儀では、いかなる場合にも敵に勝つという道理を知らないで、太刀の長さを長所として、敵の太刀の届かぬところから、勝ちを得ようとするので、長い太刀を好むからである。」

「太刀の長さによって遠いところから勝ちを得ようとするのは、心の弱さのためであって、これを弱者の兵法と見立てるのである。もし敵と近づいて、互いに組み合うときは、太刀が長いほど打つことができず、太刀を自由に振りまわすこともできず、太刀が荷厄介となって、短い脇刺しをふるう人より劣る。」

「人によっては力が弱く、長い太刀を使えぬ者もある。むやみに長い太刀を嫌うのではない。たあ、長い太刀にばかり執着する心を嫌うのである。」

(解説)

長い太刀の流派とは、巌流島で戦った佐々木小次郎を意識していると思われる。長い太刀を使いこなせるというだけで特技だろう。しかし武蔵からしてみれば、遠くから斬りつけようとしているから、単なる臆病者呼ばわりしている。接近戦が怖いからビビってるんじゃねえぞと、要するに弱者の道具だと。

しかし敵と近づいて組み合った場合には、長い太刀は逆に不利になる。むしろ近づいてしまった後で短い脇刺しの方が有利であると。もう一つは長い太刀を使えない体力の人だっているだろうにと言っている。

要するに一つの道具に固執するなということなのだろう。

但し、小次郎の強さは、剣術にたけていたことも間違いないのだが、それ以上に、あの物干竿とも呼べるべき、長い太刀を誰よりも使いこなせたことに、強みを持っていたと言えよう。

そして長い太刀を使っている以上は、自分は最強と言う自信があったはずだ。それを打ち砕いたのは、もっと長い、舟のオールだった。小次郎も、武蔵がわざわざ試合時間に遅れて、イライラさせられたこともあるだろうが、あの舟のオールを見て、色々と惑わされたこともあるのではなかろうか。

武蔵は、そういった心理状態さえも使って相手より優位に立ったわけだ。しかも剣の試合で舟のオールなんて持ち出して。それも時と場面によって剣すらも使わない、といった発想の柔軟性に武蔵の凄さはあるのだ。

[教訓]

〇一つのやり方に固執するな。時と場面によってそのやり方を変幻自在に扱え。

〇剣の試合に剣で戦うという常識すら捨てよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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