孫子に学ぶ、「勝者の民を戦わしむるや、積水を千仞の谿に決するが若き物は形なり。」
(現代語訳)
勝者が国民を戦わせる様は、貯めた水を、千尋の谷底に落とすようなものであって、これが軍隊における理想的な形である。
(解説)
地球に重力があるので、水は低きに流れる。特に池に貯まった水が、滝から落ちていく様は壮観だ。
ここで既に勝者を前提としているが、形篇で述べてきた勝者のことを言っている。簡単にまとめてみよう。
攻守は不可分一体であり、先ずは敵の攻撃をしっかりと受け止めて耐えられるだけの組織になっているかと言うこと。儲かったときにきちんと内部留保をしておくことが重要。また耐える時には無駄に攻めるのではなく、従業員のモチベーション向上のために気力・体力を温存し、攻撃できるタイミングをしっかり見計らうこと。
本当に凄い組織にはファインプレー等ない。当たり前のことを当たり前のようにコツコツとやれるかどうか。奇策や有能さで世間にアピールしているうちは大した会社ではない。
何よりも事前準備が必要であって、事業計画書を作成し、収支がプラスになることを確認する。自分たちが提供する商品やサービスの顧客ニーズが確実にあることを知る。チームや第三者の意見も聞いた上で、勝算があると自分なりの確信を持ってからビジネスを始める。
事業計画書こそ、計量志向である。そのときにマーケットを知り、市場規模を把握し、競合との位置関係抑え、どの程度の資金を投下すべきかを考える。計量的思考を行ったうえで、始めて勝算が見えてくる。
以上の事前準備をしたうえで、勝算が確定したときに仕掛ければ負けることはない。後は池に貯めた水が滝のごとく、谷底に落ちていく。引力に逆らうことはないので、その勢いがマーケットを制するのだ。まさに組織としての勢いを持った瞬間だ。
[教訓]
〇組織として勢いを持った時に仕掛けよ。それが勝者のとしてあるべき戦略である。