聖書に以下の事を学ぶ。
「幻がなければ民は堕落する。
教えを守る者は幸いである(29-18)。」
幻というと、あまり良いイメージはないが、これを経営理念、ビジョンと表現すると、非常にしっくりとくる。従業員は経営理念やビジョンがないと堕落する。これはそれらを作らない、示さないリーダーの責任である。
リーダーは従業員に対して、会社は次にこうなっていくと、伝えなければならない。特に向上心のある人材にとっては、この会社に残ることで、将来自分はどのように成長できるのか、さらにはどれくらいお金を稼げるようになるのかを考える。
また、この会社にいることでどのような社会貢献ができるのかも重要だ。中にはどんな悪いことをしても、今、儲かればいいという人だっているだろうが、後ろめたいことはできる限りやりたくないのが普通である。後ろめたいことをやっている会社は、いつまでそれが持つかの心配もしなければならない。会社という組織が持つのか、あるいは自分のメンタルが持つのか。今も大切だが、将来も大切だ。ブラック企業の場合は、体力がなければ自分が持たない。人間、年を取ってくれば、それだけ働けなくなる。会社が拡大すれば、自分も出世して、将来の給料が増える。そのときはマネジメントのできる人材にならなければならないだろうが。
将来どうなるかがあやふやであれば、明確で強力なリーダーシップを持っている社長がいる会社へ転職したくなる。誰だって、将来性が乏しく、斜陽産業よりも、未来のある会社で働きたいものだ。強力なリーダーシップとは、まずは将来、どのような社会になり、その中で自分たちの会社がこうなっていくと、明確に示せる人だ。将来を明確にできる人にみんなついて行く。だれも将来がどうなるのか不安だからだ。そうは言っても、そのビジョンと今の場所にきちんと橋が架かっていなければならない。バカ経営者の多くが、橋を架けていないから、向こうの大地に渡りようがない。そんな素晴らしい未来が待っていると言われても、そこにたどり着けないのだ。それはビジョンではなく、パラダイスを見せているだけだ。
「僕(しもべ)を幼いときから甘やかしていると
後には手の付けられないものになる(29-21)。」
近年、優秀な家庭の親でも、必ずしも優秀な子が育たず、引きこもりになり、社会に嫌気がさして、家庭内暴力に走りがちな中高年も増えている。日本でも、世間の人に迷惑をかけるくらいならと、親が子供に手を下す事件が起き、確かに殺人はいけないことだが、親としては立派だという意見すら決して少なくはなかった。
家庭内でもとても大変だが、従業員についても同じだ。最初からラクをさせてしまうと、それが癖になる。自分で勝手に線引きをして、これ以上のことはやらないと言い出す。もし従業員が自分のいうことを聞かないのであれば、それは甘やかしたリーダーの責任だ。どちらが雇い主なんだ、雇い主の方が従業員のご機嫌取りをしているケースは多くはないが、しばしば聞くことがある。従業員の方が偉そうにしている会社は当然だが、利益が上がらず借金が増える。そうなったのはリーダーの責任であると自覚し、従業員を甘やかさないことが重要である。
[教訓]
〇経営者は未来のビジョンを示し、強力なリーダーシップを発揮せよ。スタッフは経営者のビジョンに自分の未来を投影する。
〇従業員を最初から甘やかすな。