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組織に大切なのはバランスだ

ラインハルトの生き方、考え方が「軍事的浪漫主義」の結晶であるとすれば、それに染まっていない軍高官は、軍務尚書オーベルシュタイン元帥のみであろう。ある集団の中に、異種の思考法を持つ者の存在は不可欠である。でなければ独善ないし妄信の集団と化する恐れがあるのだ。

(解説)
そもそもラインハルトとオーベルシュタインも水と油である。しかしラインハルトは、軍事的な能力を持った部下がほとんどであり、政治的な分野での働きを期待して、自ら売り込んできたオーベルシュタインを部下とすることにした。

個人の能力にはそもそも限界があり、性格もある。より大きなことを行うためには組織が必要であり、組織は参加者の能力をお互いに補完し合って強化する、極めて優れたシステムである。

組織は拡大すればするほど、人材も多様化する。性別はもちろんのこと、年齢、出身地、人種や民族、国籍、価値観等バラエティに富むようになる。身近な話題とすれば、日本では人口動態の変化が進み、労働人口が減少する中で、本来ならば定年退職になるはずの高齢者、育児に従事する者、あるいは介護に携わる従業員も労働力として確保を迫られることになる。正直、こういった様々な事情に基づく人を、同一の評価基準で見ることはできない。高齢者は、毎日働くことも難しいし、子供の調子が悪ければ、親は面倒を見なければならない。そこには別の評価基準や働き方の制度設計が不可欠になる。これはまだなんとかしようがある。人種や民族というものになると、価値観や考え方そのものが根本的に異なる。いわゆる異種の思考法というものである。

何でそう考えるか、理解に苦しむことが多い。ただ、その違いをまずは認めることを前提とすると、頭が洗れるくらいの、奇抜な発想に出会うこともある。別の思考法により、これらを上手く統合できれば、より発展的なビジネスモデルを考え出すことも出来うると思われる。思考の違いがもたらすものは別にもある。組織はリーダーの考え方を実践する、軍隊のような側面もあるが、必ずしもリーダーが成功する思考を持っているとは限らない。そこで、リーダーとは考え方の異なる人材を組織内に置き、その人の考えをリーダーの考えに加えることで、組織が暴走することを避ける効果がある。

ただ、現実的に、リーダーは自分と異なる考えの人間の意見には聞く耳を持たない。その結果、組織は瓦解する。バランスを失するからである。異なる考え方は、組織のスピードを奪うこともあるが、バランスを持った成長に不可欠な要素なのである。

(教訓)
〇経営者は自分と異なる考え方に耳を傾け、組織のバランスを取れ。
〇バランスを失えば、組織は瓦解する。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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