世界の歴史を題材とした起業家応援メディア

儲かるか以上に意義も必要

ロイエンタールは、イゼルローンに送り込む使者として、旧敵であるムライを選んだのだった。・・・ロイエンタールの真意は別として、旧同盟領で展開されつつある変事について、ユリアンたちに情報をもたらすだけでも無意味ではない。・・・

ロイエンタールの申し出は、梟雄としてはその気概の優れた面を表したものだった。旧同盟領全域を返還する、等と言う条件は、容易に出しうるものではない。・・・

だが、ユリアンはヤン・ウェンリーの弟子であった。選択に当たって、勝算と同等以上の比率で、歴史的意義というものに思いをはせずにいられない。これは極端なところ、模倣にすぎないのだが、ユリアンにとっては、地図なき迷路を歩むためのたいまつであるのだった。

「ヤン夫人やメルカッツ提督とも相談して、なるべく早くご返事させていただきます。どうぞその間はおくつろぎください」

(解説)
ロイエンタールはイゼルローン経由で帝国軍を送らせないように、イゼルローンにそれなりの好条件を提示した。帝国軍がイゼルローン要塞経由で軍隊を派遣して来れば、ロイエンタールは二面から攻撃を受ける恐れがあったからである。帝国軍の軍隊をイゼルローンで足止めさせられれば、時間も稼げる。

実質的には好条件である。旧同盟領を返還するというものであったからだ。目の前の利益に飛びつこうとすれば、帝国軍をイゼルローンで足止めするのが良策を思われた。この時の判断基準は、帝国軍が襲来してきた場合、現戦力で戦えるかどうか、そして、イゼルローンで足止めして時間稼ぎをしていれば、ロイエンタールがラインハルトを倒せて覇者になれるか。さらに、そこに歴史的意義は何か、つまり損得だけでは考えないという別の判断基準があった。

もっとも、イゼルローンで帝国軍を足止めするだけなら可能だったかもしれないが、ロイエンタールがラインハルトを撃破するまでは、考えられなかったであろう。歴史的意義を考えた場合、ラインハルトが比較的に人民から支持されるような体制を取っていたから、ロイエンタールが帝国領を奪取した後の意義を考えるとそれだけの社会的なメリットを感じられなかった。

経営者は、つまらぬ自分の損得と言う、そろばんをはじいていてはならない。常に、行動する際の歴史的・社会的意義と言うマクロ的なものの見方をせよ。それが経営者の責務だ。自分の損得しか考えない経営者が多すぎて困る。

(教訓)
〇経営者は自分の損得よりも、社会的・歴史的意義を考えて行動せよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
SNSでフォローする