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経営者は自らのリスクで戦力を整備せよ

無限に近い回復力を有する敵と戦うことは、神経にやすりをかけるほどの苦痛に満ちた疲労をもたらす。「少数をもって多数を撃つ」等と妄言するえせ用兵家の、何と愚劣であることか、いかに忠実で勇敢な兵士でも、心身のエネルギーに限界がある。それを補うには数量をそろえてそれを回転させ、休養させつつ戦うしかないのである。大軍が有利な所以である。

(解説)
ロイエンタールは、帝国軍のミッターマイヤーと闘ったときに初めて、強大な戦力と闘うことの恐ろしさを肌で感じだ。こちらが全力で戦って疲労をしても、相手はいくらでも元気な兵士が出てくるのだ。

きれいごとをどんなに並べ建てられたところで、結局、勝敗を分けるのは戦力に尽きる。もちろん、小額投資で大成果を上げる場合もないわけではない。だが、確率論的に、お金を持っているものには敵わない。創意工夫をすれば、あまりお金をかけなくても済む、というのは、妄言にすぎない。

経営者自体は、その戦力のなさを言い訳にしてはならない。しかし、部下に対してはないならないなりに工夫しろ、と全責任を擦り付けてはならない。ないならないなりに工夫して、それなりの結果を出してほしいという要望は出してもいい。その成果を強制するな、そしてその成果を達成するために、その部下の時間を奪うな。本当に無駄でしかない。

売上を伸ばしたいというのであれば、部下個人を奮起する以上に、経営者は売れる商材を自ら準備せよ、ブランド力と高めるために広告宣伝費をかけろ。一人当たり売上高を伸ばすな。それだけ人を準備せよ。つまり経営者は部下に言い訳させないために、戦力をきっちり自らのリスクで投下しろ、ということだ。それだけの成果を求めるのであれば。

どんなに優秀な人間だって、動けば疲れる。24時間なんて働けないのだ。心身のエネルギーを回復させるためには、一定の時間を休ませなければならない。仕事をもってきたら、それを少人数でこなさせるのではなくて、大人数で賄うための準備をしろ。それが経営者の責務である。そして、十分に戦力を整えて、部下に成果が出せなかった言い訳をさせないようにせよ。大抵、言い訳をさせる原因は経営者の準備不足にある。部下の頑張りが足りないのではない。頑張りがというのならば、頑張れない理由を創り出しているのもまた経営者に責任があるといってよい。

(教訓)
〇部下の創意工夫で、劣勢を跳ね返すのには限度がある。
〇現実的には、いかに広告宣伝費をかけたか、いかに設備をかけたか、いかにお金をかけたかで、ビジネスの勝敗が決まる。
〇お金をかけなくて、勝て、部下の奮起で、と言う妄言はやめろ。
〇経営者がリスクを負って戦力を十分に整備し、部下に言い訳させないようにせよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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