人の生命は、星の一瞬のきらめきにも及ばない。そんなことは古来からわかり切ったことである。だが、星の永遠と、人の世の一瞬とを認識するのは、人であって星ではない。
お前もいつか感じるようになるだろうか。凍てついた永劫と、一瞬の燃焼と、ひとはどちらを貴重なものをみなすのか、ということを。一瞬だけ輝いた流星の奇蹟が、宇宙の深淵と人の記憶とに刻印されることがあるということを。
いつかお前も星々を眺めて、その彼方に想いを馳せ、それを征服し、その輝くの中に身を投げたいとの望みに身を焼くことがあるだろう。そのような日が来た時、お前は、自分一人で旅立つのか。父親を伴っていくのか。それとも、一歳にして忠誠を誓約したアレクサンデル・ジークフリードと行を共にするのだろうか。
(解説)
ラインハルトは別の世界へ旅立った。ミッターマイヤーが首席元帥となった。そしてラインハルトとヒルダの子である、アレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラムが生後数か月で帝位に就いた。
最も近い恒星は太陽であるが、その次に近い恒星は4.3光年先のプロキシマ・ケンタウリである。そうかたったの4.3年か、ではない。今の人類の技術ではもはやいけない位に遠い。すぐに記録は塗り替えられるだろうが、ハッブル宇宙望遠鏡で観測された最も遠い恒星は93億4000万光年離れたイカロス。ちなみに肉眼で見える最も遠い天体がさんかく座銀河の約300万光年。人間の一生と比較すれば、どれだけ我々がちっぽけか、と言う話だ。恒星から見れば、金持ちも貧乏人も、成功者も失敗者も細菌の背比べにしかならない。肉眼ではどちらが大きいかわからない。
だが、せめて一瞬の燃焼と、凍てついた永劫であれば、一瞬の燃焼となりたいものと思うものだ。凍てついた永劫は雇われ人。そして一瞬の燃焼は経営者である。どんなに頑張っても一生燃えられないかもしれない。でも燃えて少しでも目立った方が、貴重な人生だったと言えるだろう。
そのときに、自分一人で輝くのか、はてまたパートナーと共に輝くのか。それは自分自身で選ぶことだが、ろうそくの灯も一本だけなら消えてしまうが、まとめて何本もであれば、消えにくい。そして火は自分から周りのろうそくにくべたいものだ。それがチームである。
(教訓)
〇凍てついた永劫であれば、一瞬の燃焼を求めよ。
〇一本ならば消えてしまう火も、何本もまとめればきえにくい。それがチーム力というものだ。