「卿もフェザーンに来るがいい」
「よろしいのですか、陛下?」
「その方が良い。予よりもむしろ次の支配者に、卿の抱負と識見を語っておくべきだろう。皇妃は予よりはるかに政治家としての識見に富む。具体的なことは、むしろ彼女と話し合う方がよいだろう」
(解説)
ラインハルトも自分の死を覚悟していたこともあり、以後の話は次に継ぐ者にさせた方がいいと考えた。
死後に自分の思い通りに全てのことを進めることはできない。だから死後のことは後継者に全てを任せるくらいでないとならない。いつまでも老害の如く、文句垂れたり、死後もああせいこうせいは良くない。想いを伝えることは悪くない、しかし死後その思いを実行することは諦めた方がいい。なるべく実現されていたらいいやとか、後はよろしく頼むとしか言いようがない。死んだ後はどうにもならないのだから。
死んだ後でも管理できていることがあるとすれば、アインシュタインの相対性理論であろうか。まあ、作ったわけではなく、自然法則を発見して記述しただけだから、アインシュタインが管理しているのではなく、自然法則が管理しているということだろうけれども。
ある人が、自分の財産をどう残すか、と相談を受けた。相続税は最高税率55%となっているから、何の工夫もしなければ半分は持っていかれる計算になる。相続人が何人いるとか、その相続財産は何か、という議論はこの際おいておこう。あるお金持ちが公益財団法人として、限りなく100%に近い財産を残しましたけれど、と言う話をした。すると、評議員会から遠い将来自分の子孫が外されたらどうするのか、という質問が返ってきた。
概ね、自分の子供くらいであれば、今の評議員は、その親にお世話になっているわけだから、子孫は大事にしますよね、その後は心配しても仕方なくないですか、と言ったら、それでは困るといっていた。
そもそも公益財団法人は富裕層の社会貢献なわけだから、自分の子孫を未来永劫を気にしても仕方がない。次の世代のことは次に任せるとしよう。まあ、その前に困るぐらいの財産を残しましょう、上の質問を自分にされた方(笑)。
(教訓)
〇経営者は自分の後のことまで気にするな。
〇後の人は後の人にすべてを任せよ。死後のことはどうにもならない。