「世の中のあほうどもは、何か決定すれば事態がひとりでに動き出すと思っているのと違うか」
捕虜のリストだけでも、六種類作らなくてはならないのだという。姓名をアルファベット順に並べたもの、階級別、所属部隊別、捕虜になった年月日別、兵科別(工兵とか陸戦隊とか)、出船星系別、それに傷病者や病死者のリストも必要だ。キャゼルヌ少将は、ハイネセンから転送されてくるリストを再編している最中だったのだ。
(解説)
コロナショックで経済への大打撃を妨げるために、政府は給付金や補助金の制度を各種展開している。資金繰りに窮している人からすれば、遅くてたまらないだろうし、そうでない人にとっては、あるだけありがたいと言ったところだろう。金額の大小や速度、公平感等不平不満はあると思うが、どんな制度も完ぺきではない。
ことさら、政府を擁護するわけではないが、キャゼルヌの言葉「世の中のあほうどもは、何か決定すれば事態がひとりでに動き出すと思っているのと違うか」は、おそらく政府でいろいろ動いている人からすれば、そんな気持ちになるだろう。何をすると決めても、制度設計、その制度による費用対効果の測定、そして、現実化するための事務のオペレーション等、決めなければならないこと、やらなければならないことのオンパレードであって、やり始めたら始めたで不具合の修正。決めてもすぐには正常に動かないのが、制度というものだ。
政府のような大掛かりなものでなくとも、会社組織のような小さなレベルでも、経営者がああしよう、こうしよう、ああしたい、こうしたい。というだけならばタダだから、ポンポンと要望を出してくる。それ以外遣ることがなくて暇だからか、あの件はどうなったと気軽に聞いてくる。おいおい、仕事はそればかりじゃないんだよ。ルーティンをこなしているこちらの身にもなってくれ、と言いたいところだ。
前者のあほうは、おせえ、不公平だと口うるさい国民、後者のあほうは、言い出しっぺの経営者といったところだ。言った奴が、制度設計して、実行してみろ、そもそも前者は頭がスタックスして何もできやしないし、後者は手がスタックスして何もできやしない。
何もできない奴の方が、単に口うるさい。口うるさい奴は口だけで何もできない能無しである。
(教訓)
〇世の中のあほうどもは、何か決定すれば、事態はひとりでに動き出すと勘違いしている。
〇口うるさい奴ほど、口だけで何もできない能なしである。