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チームに方針を示す作戦名を考えろ

「・・・基本的な構想から言えば、フェザーン回廊を通過して同盟領へ進行することを、私はすでに決めている。イゼルローン回廊のみを進入路と想定して自ら戦略上の選択範囲を狭めれば、要塞への道を将兵の死屍で舗装した同盟軍の愚行を再現することになるだろう。フェザーン回廊を通過しない、と言うのは人間が定めた都合であって、宇宙開闢以来の法則ではない。同盟の奴らがそう思い込むのは勝手だが、奴らと幻想を共有する義務はないのだ。フェザーン回廊を通過するという方法は、敵の意表を突くという一点のみにおいても、他の方策に勝る」

「作戦名はどのようなものになりましょうか」
「・・・作戦名は『神々の黄昏』」
・・・この名が与えられたことによって、作戦自体がすでに成功を見たかのような想いさえ戴いたのだった。むろん、それは瞬間的な錯覚であって、歴戦の男たちは前途の容易ならざるを知悉しており、すぐに表情を厳しくしたが、乱世の武人としての覇気と鋭気を刺激されたものまた事実であった。

(解説)
大規模侵攻作戦として、ラインハルトは提督に対して戦略の説明をした。懸念材料としては、フェザーン回廊を越えた後で、背後からフェザーンに攻撃された場合、補給路を断たれる可能性があり、フェザーンを逆に攻撃すると、さらに背後から同盟軍に攻撃される可能性もある。また、そのときに、イゼルローン要塞からヤン・ウェンリーが出てきた場合には、等実際にうまくいくかどうか、心配をしていた。

前段について言えば、法則以外は無視をしてしまっていいという考え方であろう。人間が決めたルールはときに破るべき対象かもしれない。そして、みんなが思っていることを真逆の事をすることが、損をさせることにもなりかねないが、人から抜きんでる唯一の方法であったりもする。一番よくないのは、法則を無視することだ。法則と言っても、人間が法則と思い込んでいるものは、破る対象と言っても良い。人間が法則と思い込んでいるもの、それは常識である。法則そのものとは異なる。

後段について言えば、提督の心配をたかが「作戦名」を語ることで、吹き飛ばす効果がある。作戦に相応しい名前を与えることで、作戦の成功を保証する印象を与えることもある。もっとも、アメリカ軍が作戦名を決めるものの、ほとんど物量で圧倒するだけだから、それほど効果があるとは思えないという意見も否定はできないが。部下の気持ちを一つにするために、作戦名を決めても悪くないと思う。

(教訓)
〇常識は無視しろ、法則は無視するな。
〇ふさわしい作戦名を考えて、部下を鼓舞せよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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