宮本武蔵に学ぶ、
「敵になるというのは、わが身を敵の身になり替わって、考えることを言う。」
(解説)
敵の立場に立って、考えることで敵の意図を知るということが本来の意味であるが、ここではお客様を敵に見立てて考えてみよう。ビジネスは目標を達成することが重要であり、その目標が顧客への商品やサービスの提供であれば、目標を達成する相手を敵と考えることもできなくはない。そのように考えるとビジネスを成功させるためには、お客様になり切ることが必要だということになる。
サービス提供者も一消費者であり、よく自分が欲しいものを商品にすればいいという考え方もある。間違ってはいないが、自分の欲しいものが他の消費者も欲しいものかと言うと、それはまずは疑ってかかるべきだ。
セブン&アイ・ホールディングスCEOの鈴木敏文さんは、「お客様のために」はダメ、「お客様の立場に立って」考えよと仰っている。そうすれば、お客様の欲しい商品やサービスは何か、つまり潜在ニーズを探し出すことができる。これらの答えはいつもお客様の中にあるのだ。
自分が一消費者として、自分の欲しいものを商品にする、と、どうしても「お客様のためになる」と考えがちだ。一消費者であることも否定しないが、その前にサービス提供者であるということを忘れてはならない。自分の欲しいものはあくまでも主観的になってしまうのだ。そこでお客様の立場に立って、となると客観的に物事を考えられるようになる。
また、お客様のためにというと、提供者側のエゴにもなってしまう。そうするとお客様のためにサービスを提供しているのに、なぜお客様に受けないのだ、彼らは理解してくれない、とお客様のせいにしてしまい、自分の責任を回避する。
サービスが売れないのは、お客様が悪いわけではなく、そんないらないものを作る提供者が悪いのだ。また、最近はレスポンシブ対応が当たり前になったが、それでもECサイトを作る際には、PCの画面で見たり、アンドロイド、iPhoneの画面で見るなど、お客様の立場に立って、操作しやすいかを自分の目で「お客様の立場に立って」見なければならない。
自分が「お客様のために」サービスを提供しているからそれでいいのではないのだ。
[教訓]
〇「お客様の立場に立って」商品やサービスを考えよ。決して「お客様のために」とは思うな。サービス提供者のエゴが出てくる。