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起業にとっての最大の敵とは

織田信長に学ぶ、

武田当主勝頼への家臣たちの信頼が日々失われていった。まず木曽義昌が信長に内通してきた。そこで勝頼は木曽義昌の生母や側室、子供を磔にして処刑。これを受けて、武田攻めの主将を信忠に任せ出陣した。

次から次へと、織田軍が侵攻するが、信忠が近づいてくると戦わずして逃げてしまう城が多かった。まさに無人の野を行く勢いであった。逆に信長は、滝川一益や河尻秀隆に対して、進撃を押しとどめるように命じる。若さのあまり軽率に進んで敵の罠にはまるのを恐れているかのようだった(信長が自分で武田の息の根を止めたいとの見解もある)。

武田氏頼みの要害高遠城が一日で落とされた。武田勢が逃亡する中で、徹底抗戦を貫いたのは、仁科盛信だけであった。そして勝頼は韮崎の新府城を去ることを決めた。一族の小山田信茂しか頼れるものがいなかった。しかしその小山田も織田方に寝返っていた。勝頼は田野に陣屋を作って逗留した。このときに兵は41人しか残っていなかったという。

最後は滝川一益が勝頼を発見し、勝頼は自害した。

(解説)

信忠が将として優れていたというよりは、武田勝頼の求心力が既に失われてしまっていることが大きい。あまりに順調すぎるものだから、信長は逆に敵の罠があると勘違いしたに違いない。そこで、信忠のサポート役を務めた滝川一益や河尻秀隆に対して、進撃を緩やかにするように指示を出している。しかし心配は無用だった。

ビジネスにおいても、順調なときの方がとんでもないミスに襲われることがある。つまり大丈夫と言う慢心からくる油断だ。特に問題はないから、この手間は省いてしまっていいと思ったら、事故ってしまうケース。最初の頃は初めてなこともあって、ミスをしないように慎重に進めるだが、慣れてくると最初の頃の厳しい姿勢がなくなって、段々と気が緩むようになる。

誰もが思い当たるふしがあるのではないか。ある程度の会社になってくると、ちゃんと稟議やダブルチェックと言うシステムがあって、誰かのところでミスが止まるようになるが、小さな会社にはそういったものがない。例えば、インターネットバンキングで今まではミスがなかったから、あまり注意をしていなかったら、別のところに払ったとか、金額が違ったとか、そういうことがある。最初のうちは、口座番号は合ってるか、支払先は合ってるか、金額は合ってるかと指で確認しているのだ。それを慣れてくると怠ってしまう。

自分で自分をミスの罠にはめてしまうようなものだ。こういうときにはぜひとも初心に帰りたいものだ。

信忠の例は、順調なときこそ慢心を生む。むしろ勝って兜の緒を締めよ。つまり成功したからといって、気を緩めず、さらに心を引き締めよということだ。

[教訓]

〇慣れてくると慢心を生む。そういうときには初心の時の厳しい気持ちへ帰れ。

〇順調なときこそ慢心を生む。勝って兜の緒を締めよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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