織田信長に学ぶ、
左義長(どんど焼き)
切支丹の国から黒人が来た。年齢は26歳か27歳ぐらいに見えた。この男は全身が牛のように黒く、健康そうで立派な体格であった。しかも力が強く、十人力以上であった。伴天連が連れてきて、信長に挨拶させたのである。誠に信長の意向で古今知りえなかった三国の名物や、このような珍しい人物を近々と見ることができて、ありがたいことである。
(解説)
信長は新しいものに好奇心を持っていた。イエズス会の献上した地球儀や時計等の西洋の科学技術に関心を持った。文章に残すことをためらわれるが、宣教師の連れてきた黒人さんの肌をたわしでこすったという逸話も残されている。何でも試してみるということか。あとはゾウを献上されてもいたらしい。この当時、外人との交流がこれほど広かった人も珍しかったに違いない。
起業家は将来のビジョンを持つ人種であるから、新しいものを見ると一通り試したくなる人が多い。当然、自分に関心がある新しいものと言う意味だ。自分を含め、一般人であれば、例えばインターネットなるものが現れても、ダイヤルアップで通信料がかかるなあと、少しはやってみるがためらってしまう。新しい通信機器が登場しても、まだ昔の機器が使えるし、もう少し普及してくれば安くなるから、その時買おうとして、自分でお金をかけて手に入れようとしない。
ビジネスを創出する能力も、好奇心から始まる。どういう仕組み何だろう。なぜなんだろう。新しいものが出たての時は不便なところも多く、こう改良したらもっと便利になるのになと、そういった考え方が、新しいビジネスを生むのだ。
また、信長は、左義長において、安土の町で爆竹をならして馬を走らせたり、城下町の明かりを禁じ、安土城の天守閣だけを提灯でライトアップしたり、琵琶湖に多くの船にたいまつを載せて浮かべ、その輝きを楽しんだという。
奇抜なことをやるとか、常に遊び心を持つことが、発想力をより高め、頭を柔軟にする。信長にベンチャーの起業家精神を見て取れるのだ。
[教訓]
〇新しいものに常に関心を持ち、アンテナを広げておけ。
〇物事に好奇心を持て、なぜ、どういう仕組み、こうしたらもっといいなど発想力を豊かにせよ。
〇遊び心を持て。自分なりの美的感覚を大切にせよ。