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経営者にとって、「運が悪い」は言い訳でしかない。

項王はまた兵を率いて東し、東城に行った。この時、従う者は二十八騎であったが、漢の追撃兵は数千人からあった。項王は到底脱出できないとみると、従騎に、「わしは兵を起こして以来、今に八年である。自ら七十余戦し、当たる所の者は破り、撃つところの者は従え、未だかつて敗れたことがなく、ついに天下を取った。しかも今遂にここに困窮するとは、天がわしを滅ぼすのであって戦いの罪ではない。今日はもとより死を決している。願わくは諸君のために決戦し、必ず三度勝って諸君のために囲みを破り、敵将を斬り、敵旗を倒し、諸君に天がわしを滅ぼすのであって、戦いの罪ではないことを知らそう」といい、従騎を分けて四隊とし、円陣になって四方に向かった。漢軍はこれを数重に囲んでいた。

(解説)
項羽は強かった。連戦連勝であった。むしろ劉邦の方が押されていたと思われる。しかし最後に劉邦が勝った。そのうちの一つの要因がここにある。

会社の社長が、会社が危機的な状況になったときに、朝礼で、「運が悪かった」と部下の前で行ったとしたら、「ふざけるなバカ野郎、お前の責任だよ」と口には出せないまでも内心では思っているだろう。もちろん運が悪い経営者だっているのだ。ただ、それを運の責任にせずに、リスクヘッジをするとか、やるべきことを徹底的にやっておかなければならないのは、リーダーの責任である。

しかも項羽の場合は、「運が悪かった」だけではなくて、「俺ってすげえんだけど。アイデアは正しいし」なんてという枕詞でもつけようものなら、さらにスタッフの激怒り度は増すであろう。

この危機的な状況が資金繰りがきつくて給与の遅延が発生するような場合には、まずリーダーがやらなければならないことは、資金的手当てだったり、外注業者や金融機関等に対する支払いを後回しにするための交渉である。当然、資金的な手当ての中には、借り入れだけではなく、営業強化策も考えられる。そうした上で、何故に資金繰りが悪化する原因となったのかという要因分析も忘れてはならない。上手く行かないときには運以外に必ず原因があるはずだ。運だけはコントロールできないから、コントロールできることをしっかりこなすしかない。

[教訓]
〇会社の業績が悪化したときの言い訳で「運が悪かった」は使うな。
〇リーダーはどんな状況下に至っても、やるべきことはやらなければならない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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