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どんな人のアドバイスも参考にせよ

「私はこう聞いています。『智者も浅慮に必ず一失あり、愚者も浅慮に必ず一得あり』と。だから『狂人の言と言えども、聖人はこれを選ぶ』のです」

「今、将軍のために諮りますに、兵を抑えて休養させ、趙を鎮定して戦没者の遺児を憐れみ、百里以内から日々寄せられる牛や酒をもって士大夫に響し兵に飲ませ、北方、燕の道に向われるに越したことはありません。その上で弁士を遣わして、咫尺の書簡を送って、わが方の有利を燕に明示するなら、燕は必ず聴従しないわけにはいかぬでしょう。燕を従わせた後、弁士をやって、このことを東の方斉に告げたなら、斉も必ず風のまにまに服従し、例え智者がいても斉のために諮る方策がないでしょう。このようにすれば、天下は全て攻略できるのでありまして、元々兵法に『虚声を先にし、実力を後にす』とあるのは、こうしたことを指して言うのであります。」

(解説)
公武君が韓信にアドバイスをしたときの言葉である。

とにかくどんな人の言葉であろうと、傾聴すべきであるという。そして仮に成功者と言われる人であったとしても、鵜呑みにするなと、どんな優秀な人だってオールマイティーではないし、間違いだってあるものだ。そしてどんな失敗者であったとしても、その失敗談から何か得られるものもあるかもしれない。後は、テスト勉強が苦手な、世間的バカと言われる人だって、テスト勉強が苦手なだけで、何か面白いことを知っている可能性だってある。あるいはこいつばかだなーと思う人からの一言から、自分がその言葉をヒントに何か優れたことを考えられるかもしれない。犯罪者だって、ビジネスにとっていいことを言うかもしれないのだ。

公武君が言うに、兵士が就かれていたから、まず疲れをいやす事、戦没者の遺児を憐れむこと、兵士に酒を飲ませて慰労することが大事。そして兵士を戦わせるのではなく、弁士を使って、相手を屈服させるのだという。まさに戦わずして勝つという戦法だ。そもそも戦えば敵も味方も相当数の命を失う。人は生きていれば、戦力になるし、ましてや痛めつけられたり、同僚を殺されたら、従いたくもなくなる。だからなるべく争わない方が良いということになる。ビジネスに例えるとライバル企業同士のM&Aに当たる。弁士を立てるとは、別の戦い方をせよということになろう。

また、「虚声を先にし、実力を後にす」というのは、できないことでもできると言って置け、ということだ。客から頼まれてから、できるようにすればいい。まずは相手が欲しいものを売る。注文を受けてから、そのサービスをできるようにする。まさに営業の極意と言う所だ。

[教訓]
〇優秀な奴の言葉でも間違いだってある。どんなに失敗者の言葉でも得られるものがある。
〇スタッフに疲れが見えたら休ませよ。別の戦い方をしてみろ。例えば営業を事務員にやらせてみるのも面白いかもしれない。別の発見があるものだ。
〇できないことでもできると言って、お客様にしてからサービスを提供すればいい。自社のサービス内容が広がる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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