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リーダーの器とは

将の器は、その用大小同じからず、すなわちその姦を察し、その禍を伺い、衆の服すところとなるが如きは、これ十夫の将なり、夙に興き夜寐、言詞密察なるは、これ百夫の将なり、直にして、慮あり、勇にして闘うは、これ千夫の小なり、外貌桓々、中情烈烈にして人の勤労を知り、人の饑寒を悉にするは、これ万夫の将なり、賢を進め能を進め、日に一日を慎み、誠信寛大にして理乱に閑たるは、これ十万人の将なり、仁愛下に洽き、信義隣国を服し、上は天文を知り、中は人事を察し、下は地理を識り、四海の内、視ること室家のごときは、これ天下の将なり。

(現代語訳)
将軍の器には大小がある。腹黒い人間を見分け、危険を未然に察知し、部下を統制するだけであれば、十人の将である。朝から晩まで軍務に当たり、言葉も慎重であれば百人の将である。まっすぐで思慮に富み、勇敢で戦うのは千人の将と言える。外見は威たけく、内には闘志があり、部下の労苦を知っており、飢えや寒さを思いやる心があれば万人の将である。有能な人材を登用し、自分は毎日修養に勤め、信義に厚く、寛大であり、心を乱されないならば、十万人の将と言える。そして仁愛をもち、信義をもって近隣諸国を信服させ、天文や地理を知り、人事に通じ、全人民から敬愛されれば、天下の将軍である。

(解説)
リーダーには器がある。大組織になれるリーダー、小さな組織しかまとめられないリーダー、ひたすら守るだけのリーダー、成長企業にふさわしいリーダーなど。

時代背景、事業体、ステージによって様々なふさわしいリーダーの形がある。起業して人を増やしていけば、否が応でも小組織、中組織、そして大組織、成長期、安定期等のありとあらゆる状況のリーダーを体験可能できる。

地位が人を育てるということもあるから、生まれながらその人は小組織のリーダーにしか向いていないとか、能力が固定的ということはあり得ないだろう。能力というよりはむしろ気持ちの問題のように思える。企業が大きくなっていくにあたり、次第に視野が広がっていく。今までは手に届かなかった世界が見えるようになると、もっと遠くまで飛んでいきたいとも思うだろう。太古の人間は身の回りにしか視野を持っていなかったから小組織にしかならなかった。山の上から世界を見れば、目で見えるとことまでは言ってみたいと思うようになった。そうして色々な組織と遭遇することでより組織自体が拡大していったのだ。

どこまで自分の思いやりの気持ちを拡大させていけるか、それがどれだけ大きな組織を束ねられるかどうかだ。しかし権力を持ってしまうと、どこかで道を履み誤ってしまうこともあるのだろう。付き合いが周囲だけになり、視野が狭くなると、組織は崩壊の方向をたどる。

より遠くまでリーダーの思いやりを届かせろ。そのような組織に滅亡も崩壊も衰退もない。

[教訓]
〇企業のステージに合わせたリーダーの形がある。
〇リーダーの資質は生まれながらではなく、地位が人を育てる。次第にふさわしいリーダーになっていく。
〇リーダーとは能力ではない、気持ちだ。リーダーの思いやりが届く範囲まで、その組織は拡大する。思いやりが届かなくなっても大組織を維持しようとすると、組織は崩壊をたどる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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