燕の昭王は、郭隗というものに言った。「斉はわしの国の内乱に乗じ、襲い掛かって燕を破った。わしは燕が小国で力が乏しく、中々報復できないことを知っている。さりながら、もしも賢士を手に入れて国運を共にし、先王の恥をすすぐことができるなら、これこそわしの念願である。先生にはどうか適任者を捜してほしい。わしは身をもってその人に従おうと思う。」
郭隗は言った。「王がどうしても賢士を招きたいと思い召すなら、まず隗よりおはじめください。そうすれば、私以上の賢士がなんで千里の道を通しとしてこないはずがありましょう。」
そこで昭王は隗のために宮殿を改築し、隗に師事した。すると楽毅が魏より、鄒衍が斉より、劇辛が趙より来るなど、士が争いて燕に赴いた。
(解説)
楽毅は強国であった斉を滅亡寸前まで追い込んだ武将。鄒衍は陰陽家で昭王の師。劇辛は騎馬隊を率いて異民族と幾多の戦いを制してきた将軍。
流石に、就職面接において、自分を雇えば、もっと優秀な人がやってきますと言ったら、かえって落とされそうであるから自ら言わない方が良いが、リーダーが優秀な人材を集めるための方法としてはアリだろう。そのようなときは、凡人に対してある程度のお金を払っていることにするのだろうか。その場合は、求人広告に報酬を高めに記載しておけばよさそうだ。でもお金だけが目的な奴をひきつけそうで、本当に優秀な人材が来るかは疑問である。
間違えない方が良いのは、起業家が自分の事をどんなに魅力的だと思っていたとしても、周囲には伝わらない。本当に共にいて欲しい人であれば、それなりの処遇(報酬)を支払うべきなのだ。
少なからず、そこそこ優秀な人に市場平均を超える賃金を払っておけば、その優秀な人が次から次へと、ここはいい職場だぞといってお声がけしてくれる。ただでさえベンチャーは明日どうなるかわからないことも多い。給料未払は起こらないとは限らない。たまに給料が遅延するような会社に、誰が自分の信用を使って、優秀な人を呼んでくるというのだろうか。業者だってそうだ。お金の支払が確実であれば、自分が使っていた中でもよい業者にお声がけしたくなるのだが、そのような保証がなければ呼んで来るわけがないだろう。
起業家は先ず金払いを良くすればいい。そうすると次から次へと優秀な人が集まってくる。お金払いが悪くなって、みんな去っていき、本当に必要な人だけが残った、と愚かなことを言う起業家もいるが、上手いタイミングで逃げきれなかっただけだ。バカも休み休み言えと言った感じだ。
[教訓]
〇優秀な人を引き寄せたければ、そこそこ優秀な人に、市場平均以上の報酬を支払え。
〇起業家は一にも二にも金払いの良さだ。