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好きなときに調達できる、効率的な資金調達の方法とは

「ある人が旅行に出かける時、僕たちを呼んで、自分の財産を預けた。一人には5タラントン、別の者は2タラントン、そして最後のものには1タラントン。前者二人はそれを元手に商売をして儲けたが、最後の一人は穴を掘り、主人の金を隠しておいた。主人が戻ってきたときに、それぞれ成果報告をした。前者二人には、「忠実な僕だ」として、多くの財産を管理させた。最後の僕は、言い訳をした。「ご主人様は、撒かないところから刈り取り、散らさないところからかき集められる厳しい方ですから、地の中に隠しておきました。」ご主人は、「怠け者の悪い僕だ・・・それなら銀行に預けておくべきだった・・・さあ、そのタラントンをこの男から取りあげて、最初の者に与えよ。誰でも持っている人はさらに与えられて豊かになるが、・・・この役に立たない僕を外の暗闇に追い出せ。」

ここでタラントンとは通貨の単位であるが、上のたとえ話は、まさに資本主義を表している。

要するにこれは、資産運用の話である。資産運用と言っても、むしろ証券投資よりは事業投資だろう。商売をして儲けたとある。事業投資も投資家が、経営者にお金を託して、経営者がお金を増やす。それを投資家に対して還元する。投資でなくても、融資でも構わない。利息をつけて元本を返済する。お金を出した方は、自分のお金が増えれば満足である。そしてお金を増やしてくれた人に、もっと増やしてほしいと、財産を投下しようとする。実績を上げれば上げるほど、資金というものは集まってくる。

実績さえあれば、手元に資金がなくても、何とでもなる。お金はいくらでも集められる。しかし逆に、その資産を運用する、つまり商売の能力がない人のところには、お金は集まってこない、どころか取り上げられてしまう。もちろん雇われ人であれば、給料はもらえるのではあるが、それも実は搾取されただけと言えなくもない。だからあなたの稼ぎを、雇われ人であり、自分で資産を増やす能力がなければ、取られているということなのだ。

もっと悪いことに、最後の人は、ご主人様の悪口まで言っている。「撒かないところから刈り取り、散らさないところから集める」。要するに、ドケチ野郎の強欲野郎と言ってしまっている。それが本当のことであろうと、資産を増やさなかった言い訳を始めたものだから、もっとご主人様を怒らせてしまって、暗闇に追い出されてしまったのである。

それゆえ、お金を預かったものはそれを増やすのが当たり前だし、増やせなかったら増やせないなりの責任を負わされる。投資が上手くいかなかった場合は、次の投資を集めづらくなる。それでも別の人を騙して調達するかもしれないが。融資の場合には返済できなければブラックリストに乗り、次はしばらく融資を受けられないというペナルティを負うことになる。いずれにしても、人の資産に手を付けて、実績を残せなければ、暗闇に放り込まれることには変わりない。

[教訓]

〇実績を上げれば、もっと多くのお金が扱えるようになる。だからまず資金調達をしたければ、実績を上げよ。そうすれば思う通りの調達が可能になる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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