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起業のための基礎固めはいつすべき

聖書に以下の事を学ぶ。

「そこで、私のこれらの言葉を聞いて行う者は皆、岩の上に自分の家を建てた賢い人に似ている。雨が降り、川があふれ、風が吹いてその家を襲っても倒れなかった。岩を土台としていたからである。私のこれらの言葉を聞くだけで行わない者は皆、砂の上に家を建てた愚かな人に似ている。雨が降り、川があふれ、風が吹いてその家に襲い掛かると、倒れて、その倒れ方がひどかった。」

基礎固めだけに時間をかけて、その上に家が建たないのは問題だが、基礎固めをせずに、テクニックで家を建ててしまうのはもっと問題が発生する。

会社を起業するにあたって、色々と準備がいる。飲食店を経営したければ、何らかの意味で飲食店の経験をどこかで積んでおく必要がある。これがいわゆる基礎固めの期間だ。基礎固めのうちは、雇われ人であるから、あまり高い給料をもらえるわけにはいかないが、この時期を経ていないと、その後のトラブルを解消することなどできはしない。そもそも最初何から手を付けていいかすらもわからないだろう。本を読んだ知識だけでは、対応できないことも少なくない。

人は解決したことのない問題が生じると慌てる。解決したことのある問題であればスムーズに対処できる。やったことのある仕事ならば、ここまでやっておけばいいということもわかり、それ以上は必要のないということもわかる。だから動きに無駄がない。起業すれば、固定費がかかる。売り上げが上がる上がらないに関わらずかかる費用のことだ。何かにトラブって、売上が上がらない時期であっても、固定費の支払には追われてしまう。だから売り上げの入金が入ってこない時期は、なるべく短くすべきだ。そのためにも経験は、価値のある財産と言える。

そして、基礎固めの期間にリスク管理の能力を身に着けることだ。勤めている間に全ての問題に出くわすわけではない。起業してから初めて見る問題は絶対にある。だが、今までの経験の中で応用が効いたり、対処法を想像できるようになる。これは大きい。給料をもらいながら勉強できるわけだから、サラリーマンの時間は非常に貴重だ。

スポーツ選手になりたいのであれば、基礎固めとは、一つは体力トレーニングであり、あとは基本的な練習である。これをしないで、最初からテクニック頼りになると、間違いなくケガをする。あの人は天才だったけれども太く短かったなあ、という選手も少なくはないが、ここ数十年であれば記憶にも残るが、大抵、数年で消えた選手は、それだけの評価しかされない。少なからず天才という称号を得られることはない。

ビジネスにも付焼刃的な、一般的なテクニックで何とか乗り切ろう、と普通の人も思っているし、コンサルタントもそれを商売にしているが、本来、基礎固めをした人であれば、コンサルタント等は必要ないはずだ。しかし悲しいかな、基礎固めを十分にする人が少ないから、コンサルタントは必要になる。もう一つ困ったことに、その基礎固めをすることを重要だとしても、コンサルタントに依頼する会社は今すぐ出る成果を要求する。会社とは基礎固めされることなく、緩い土台で成り立っている会社は多いのに、付焼刃的な解決策は一時しのぎの結果しか出ない。中長期的にはまたどこかでほころびが出る。

「私のこれらの言葉を聞いて」というのは、イエスの言葉だが、経営の法則と言い換えることができる。つまり基礎固めとは、これを最低限しなければうまくいかないということを知るということになる。それの多くはサラリーマン時代に得られるというわけだ。

[教訓]

〇基礎固めに時間をかけすぎるのは問題。

〇しかし基礎固めをせずにビジネスを始めてしまうのはもっと問題。

〇起業前のサラリーマン時代に基礎固めをできる限り完璧にしておけ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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