聖書に以下の事を学ぶ。
士師とは、王のいない時代のイスラエルの指導者である。まず一人目のエフドのときは、イスラエル人はモアブの王エグロンに仕えていた。エフドは剣を隠し、貢物をエグロンに届けた。内密の話があると王に近づき、人払いをした後、剣でエグロンを殺害。王を失ったエフドはイスラエルの手中に落ちた。
デボラの時代には、イスラエルはカナン王のヤビンに仕えていた。デボラとバラクにイスラエルの民が率いられ、ヤビンの将軍シセラと対決。女性の士師デボラは、シセラの軍隊をぬかるみに追い込み、追い詰めた。シセラは命からがらヤエルの天幕に走って逃げてきた。ヤエルとはカイン人へベルの妻であり、へベルとヤビンは友好的であった。しかしシセラが熟睡していたときに、へベルがシセラのこめかみに天幕のくぎを打ち込み殺害。非力な女性が男の将軍を倒した。
サムソンは天下無敵で怪力の英雄。この当時はペリシテ人の支配下にあった。不幸にも敵のペリシテ人の女であるデリラに恋をしてしまい、自分は髪を切られると力を失ってしまうと白状してしまう。サムソンは寝ている間に髪の毛を切られ、捕えられ、目をえぐられ、足かせをはめられ、石臼で粉を引かされた。ペリシテ人の祭りの余興として見世物にされたサムソンは、髪の毛も伸びつつあり、建物の支柱を掴み、渾身の力で建物を引き倒し、多くのペリシテ人を道ずれに、自らも命を落とした。
この3つの例に共通しているのは、エフドの場合、貢物をして歓心を買った。へベルの場合、王と一族が親しかったために、自らも信頼されていた。そしてサムソンはデリラに恋をしていた。というように、倒された方が、倒した方を信頼していたということである。それゆえ、無条件に命を委ねてしまった。
現代のビジネスに例えれば、まずはお客様に対して、信頼を勝ち取ることに焦点を当てるということになる。エフドは最初から剣を王に向けていたら、側近の兵士に殺されていたであろう。へベルにしても同じである。そしてデリラもサムソンの恋心を利用せずに、単に「お前の怪力の秘密を教えろ」といったところで教えてはくれないし、まして最強の兵士相手に剣で戦うわけにもいかない。信頼されていなければ、返り討ちを食らうだけだ。今の世の中であれば、命は取られず、単に門前払いということになるのだろうが、時間がもったいない。
相手にモノやサービスを提供したいのであれば、じっくりと時間をかけて、信頼関係を作り、それから色々なものを提供していった方が良い。結果が出れば、どんなに時間をかけても惜しくはない。
[教訓]
〇まずはお客様の信頼を勝ち取ってからじっくり営業せよ。信頼関係ができれば、それほど難しくはない。信頼関係ができない前に攻め込もうとするから上手くいかない。