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企業経営における内部留保の重要性

聖書に以下の事を学ぶ。

ヤコブの息子であるヨセフは、兄たちに疎まれ、イシュマエル人に売り飛ばされ、エジプトに奴隷として連れてこられた。ある家でお勤めをし、ハンサムであるがゆえに、その家の主人の妻から言い寄られ、関係を断り続けたものの、ヤコブにいたずらされたと、妻から嘘の証言をされ、牢獄へと入れられてしまった。そこに過ちを犯した、エジプト王の給仕役と料理長がヨセフに自分たちが見た夢を語った。

給仕役の夢は、ファラオが再び仕事を戻してくれることを示しているとして、幸せになったら、ヨセフの身の上を話し、監獄から出られるよう取り計らってくれとお願いをした。ヨセフの予言したとおりになったが、給仕役はヨセフのことをファラオに話すことをすっかり忘れて2年がたった。

そしてファラオが夢を見たときに、給仕役がそれを聞き、ヨセフがその夢の意味を説けると申し出た。ヨセフは自分の才能を生かすチャンスをつかむまでに牢獄で2年ひたすら待ち続けたことになる。

起業すると、実質2年は牢獄生活みたいなことはありうる。ひたすら辛抱をして、チャンスを待ち続けることが大切だ。

さて、ファラオの夢を解釈したところ、エジプトに7年の豊作の後に7年の飢饉が訪れるものだった。そこでヨセフは農作7年の間に、エジプトの産物の5分の1を税金として徴収し、できる限り食物を集めさせ、飢饉のときに国の備蓄をした方がいいとアドバイスした。

その役目をファラオはヨセフに依頼した。飢饉は世界全土に広がり、民がファラオに食物を叫びと止めると、備蓄から切り崩し、エジプトは飢饉の影響を受けずに済んだ。エジプトの周辺の人々も、エジプトに穀物を買いに訪れた。

起業したのち、2年間の辛抱の時期があれば幸いである。その間に備蓄(節約)の癖を身に着けることができる。辛抱の時期がなかったならば、おそらく儲けたときに儲けただけ使ってしまって、後で痛い目にあうことは目に見えている。

会社が上手くいっているときにこそ、内部留保を蓄え、事業の落ち込みに備えるべきである。どんな事業にも波はある。上手くいったからと言って、調子こいて使ってしまうと、落ち込むトレンドに入ったときに、立ち上がれなくなる。上手くいっているときにこそ、兜の緒を締めよ。内部留保を行え。次に起こりゆく飢饉に備えよ。会社は存続してこそ初めて意味がある。

聖書に直接の描写はないが、エジプトに周辺地域から食料を買い求めに来たということは、より高値で食料が売れたことは想像に難くない。ヨセフの予言がなければ、豊作の時に飢饉のことを想定して備蓄などしてはいなかっただろうが、その予言があってこそエジプトはさらに栄えたのだ。

今の社会には預言など必要がなくて、要は上手くいかない時期があることを最初から想定したうえで、上手くいっているときにお金を使いすぎないことだ。

現代社会においては、例えば会社に内部留保があれば、困っている会社を買い叩くことができる。買い叩かれたとしても、相手は今お金が欲しい。交渉で上に立てるようになる。常に財務的には余力を持たせておくことが必要である。

[教訓]

〇経営は上手くいかないことを想定して、内部留保はしておけ。

〇上手くいかないときにそれを切り崩し、キャッシュフローの安定化に勤めよ。

〇希少価値のあるものは高い値で売れる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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