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ビジネスにとってはお客さまこそ愛すべき隣人

聖書に以下の事を学ぶ。

「自分自身を愛するように隣人を愛しなさい。」

キリスト教の基本原理ともいえるのが、隣人愛である。この文言については、新約聖書でもたびたび出てくる。

愛というと、無償の愛を思い浮かべる。例えば、母親が子供にもたらす愛というものは、将来この子にお世話になろうとか、介護してもらおうとは思うまい。とにかくわが子のためにできる限りのことをやってあげたいという無償性がある。

無償というとボランティアが浮かぶが、世の中、何でもボランティアというわけにはいかない。そこで、愛という概念をビジネスに置き換えるならば、サービス提供者がお客様のためになることを心の底からできているかどうかである。今の世の中は、儲かればいいと思っている人間が増えている。それだけ自分自身に余裕がなくなっていることもあるだろう。また、消費者のニーズが充足されすぎている。例えば食欲は満たせるし、物欲もそこそこは満たせる。車も家も持たなくてもいい。そんなときに、将来の不安を掻き立て、今の大変さに訴え、あなたも不労所得をという、楽して稼ごう系の話が飛び交い、金融庁が老後は2,000万円不足するとの調査結果に、金融系、不動産系などの有象無象が、寄ってたかってくることが予想される。この連中に係ると、業者が儲けることを第一に考え、お客様のメリットは第二に置かれている。正直、建設現場の安全第一のスローガンみたいなものだ。実際は安全よりも業務の効率化が先に立つ。

ビジネスの基本原理の一つとして、松下幸之助の水道哲学が有名だ。これは「水道の水のように低価格で良質なものを大量供給することにより、物価を低廉にし消費者の手に容易に行き渡るようにしようという経営思想」である。公園の水道水を乞食が飲んでも誰からもとがめられない。それは有り余るものだからだとして、経営者は、貧困の克服こそが使命であるとした。

最後は何でもかんでも無償に近づいていくに違いない。しかしそれだと我々の生活がどうなるのか。もちろん何でもかんでも無償になってしまえば困らないが、そんなわけにはいかなかろう。価格が低廉化された中で、それを無償で維持できる社会の仕組みが必要になってくる。その一つが、直近で実現性が高いとは言い切れないが、誰しもがもらえる生活保障、ベーシックインカム制度なのだろう。

ここではその制度について深く言及はしないが、まず隣人愛とは、お客様にどれだけ利便性を上げられるか、そのうちの一つの考え方が、より良いものをより安く、あるいはリーズナブルな価格でということになるだろう。誰しも、同じサービスなのであれば安い方がいいに決まっている。自分自身がそう思っているんだから、他人にもそうしてあげなければならない。自分自身を愛するかのようにお客さまも愛するのが隣人愛であり、お客様から少しでも多くのお金を取り上げるのは隣人愛ではない。当然安ければいいのではなくて、提供するサービスにふさわしい対価であれば、それもまた隣人愛の一つと言える。お客様に喜んでもらうことがビジネスの基本中の基本だ。サービス提供者が楽をすることでも儲けすぎることでもない。

[教訓]

〇お客様のためにサービスを提供しろ。

〇自分たちの儲けを第一に考えるな。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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