世界の歴史を題材とした起業家応援メディア

優れたリーダーは欲をかかず、拘らない

「あらたな敵艦隊です!今度は多数、一万隻を超えます」
・・・ミッターマイヤーとロイエンタールは通信スクリーンを通じて話し合った。
「聞いたか、ロイエンタール」
「ヤン・ウェンリーご自身のおでましらしいな。どうする?卿は戦いたかろう」
「まあ。だが、今戦っても意味はない」
・・・状況を無視して欲を出すと、ろくな結果は招かないであろう。
・・・先頭はミッターマイヤーが統率して、撤退する全艦の秩序を整え、最後尾はロイエンタールが指揮して、同盟軍が攻撃してきたときに逆撃を加える体制を取り、完璧な撤退を行ったのだった。
・・・
「みたか、ユリアン・・・これが名将の戦いぶりというものだ。明確に目的を持ち、それを達成したら執着せずに離脱する。ああでなくてはな」

(解説)
ガイエスブルク要塞は、ヤンによって破壊され、ケンプが討ち死に、ミッターマイヤーとロイエンタールはラインハルトの命で、撤退戦を行った。彼らのやるべきことは、ケンプやミュラーの支援ではあったが、敗退が決定的な戦場では、自軍の壊滅を可能な限り防ぐことである。それ以上の目的を持ってはならない。ヤンが戦場に出てきたとき、それに対峙せず、速やかに撤退した。

攻撃よりも撤退の方が困難と言える。背中から攻撃されることと、味方が敗退する中で、モチベーションを保つのが大変だからである。そのためミッターマイヤーが秩序を整え、最後尾をロイエンタールが指揮する、といったように、殿を務めるのが名将であるのが望ましい。間違っても、リーダーが先に逃げてはならない。

ヤンが、帝国軍を見て、「名将とは、明確に目的と持ち、達成したら執着せずに離脱する」とほめている。ビジネスにおいて、目的は売り上げを拡大すること、として、ガンガン売り上げを拡大するために、店舗を拡大する、と言うのは決して褒められたものではない。例えば100店舗まで、と言う目標を決めたら、一度、拡大を休止するぐらい考えないといけないと思う。株主の手前、拡大を要求されるのもわからなくないが、うるせえ!の一言ぐらい経営者が言えなくてどうする。もっとも、拡大したいのは自分なんだろうが。執着心を持っているうちは、優れた経営者とは言えない。

(教訓)
〇優れた経営者は、明確に目的を持ち、達成したら執着しない。
〇優れた経営者は、拡大だけを目標にしない。適正規模を心がける。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
SNSでフォローする