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権力を持つとそれなりの人物しか来なくなる

命令を出した後、ラインハルトが、ケンプからの報告書を読み直していると、オーベルシュタイン上級大将が顔を出した。
「ケンプ提督からの報告書、何やらお気に召さぬと伺いましたが・・・」
「ケンプがもう少しやると思っていたが、どうやら敵を苦しめたというあたりが、彼の限界のようだな。目的はイゼルローンを無力化することにあるのだ。必ずしも攻略、占拠する必要はない。極端なことを言えば、要塞に要塞をぶつけて破壊してしまってもよかったのだ」
・・・
「だが、結局のところ、最終的に彼を選んだのは私だ。それに、元をただせば、あのシャフトが無用な提案をしたことに原因がある。無益だけなら良いが、有害と来ては、私としては遇する方法を知らんな」
「ですが、あのような男でも、何か役に立つかもしれません。武力だけで宇宙を手に入れるのは困難です。駒はより多くおそろえになった方がよろしいかと存じます。例え汚れた駒でも・・・」
・・・
「誤解するな、オーベルシュタイン。私は宇宙を盗みたいのではない。奪いたいのだ」
・・・
「これが権力を握るという事か。俺の周囲には俺を理解しようとしない奴ばかりが残る。それとも、やはり、俺自身の罪か・・・」

(解説)
中々、一を言って十を知って、しかも行動してくれる人材を見つけるのは難しい。ラインハルトにとっては、キルヒアイスだけだったが、今はもういない。

イゼルローンをどけてしまって、航路を確保できれば、本来ならば十分である。それは大局的なものの見方ができていればこそわかる。しかしケンプは、ガイエスブルクをイゼルローンの代わりに使用としていたため、思い切った作戦ができず、追い詰められたために、要塞を突撃させたが、時すでに遅しであった。ケンプは自らの野望や保身しか考えていなかった。

オーベルシュタインについて言えば、これも、ラインハルトの宇宙を奪うという意図を掴めていない。宇宙を盗むならば、汚れた駒でいいが、宇宙を奪うなら、汚れた駒ではダメなのだ。

組織には大局観を持った部下が不可欠である。経営者の意図を理解して、経営者の代わりに動いてくれる人材。難しいが、育てないとならない。育てたいが、自己保身に忙しくて、大局観等は持たない。しかも、権力を握ると、権力にすがりたいクズどもしか寄って来なくなる。人はたくさん寄ってくるが、選ぶのに大変だ。まずは権力を持つ前の友人や知人こそ大事にすべきである。

(教訓)
〇経営者と同じ大局観を持った部下が必要である。しかし、イエスマンは自己保身に忙しくて大局観などは持たない。
〇権力を持つと、それにすがりたい、あるいは権力を手に入れたいクズが集ってくる。自分が権力を持つ前の友人や知人を大切にせよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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