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強固な組織はみんなでウィン・ウィン

ローエングラム王朝は、少なくともその創業の時期において、紛れもなく軍国主義を体制としていた。そして、軍国主義というものは、民衆のレベルにおいては、熱情と共感の所在であることが、しばしばである。銀河帝国の民衆は、彼らをゴールデンバウム王朝の腐敗と不公正から救い出してくれた金髪の若者を、熱狂的に支持していた。

「ローエングラム王朝の軍隊が強兵であった理由の一つとして、皇帝個人の敵と、国家の敵と、民衆の敵とが、別個のものではなく、同一のものであることを信じていたことがあげられる。ラインハルト・フォン・ローエングラムは彼らにとって解放者であった」

(解説)
色々な会社を見ているが、会社とは軍隊か、宗教か、あるいは監獄かのどれかが多い気がする。まあ、おそらくブラック企業転職組の悲惨な履歴書と言ったところだろう。仮にどれかだったとしても、リーダーが尊敬できれば何となく許せてしまう。軍隊でも敵国に勝利すれば、より多くの物質的メリットを享受できるし、宗教でも教祖についていけばパラダイスが見える。監獄はひどい場所だろうが、刑務所の所長が人格者ならば、早く刑期を終えて自由に!と思えるかもしれないが、現実的は娑婆の方が前科者には厳しい。どんなに刑期を終えて立派なことをやっても、前科者呼ばわりする人はするし、傍から見ていて可哀そうにもなる。監獄の場合は、プレスリーの監獄ロックのように、みんなでパーティーをしなければそうならないが、三者三様、それぞれの形で熱情と共感というものがそこにある。

強固な組織に共通して言えることは、リーダーの目標、役員や従業員の目標、顧客の目標が別個のものではなく、同一のものではないか。ありがちな組織は、例えば役員報酬を高めれば、それだけ従業員の給料を下げなければならないとか、顧客から分捕れば、会社の利益が上がるとか、どうしてもゼロサムで考えがちである。シェアは同じで、それを誰がより多く分捕るかゲームになっている。それでは組織としては永続しない。実は国家もそうなのだ。政治家や高級官僚、それにまとわりつく一部の高級国民が多くの配分を得られる、現状のシステムでは、どこかで破綻することは目に見えている。暴動は法律違反で起こす方を罰するのではなく、本来は起こされるような政治を営んでいる連中をこそ、罰しなければならない。そうは言っても国民の民度が低すぎてどうにもならないのだが。

国家はともかく、継続的な組織を目指すならば、誰かの取り分を多く取ることで、誰かの取り分が減るのではなくて、関係者全員の取り分をできる限り分ける、ある意味では上のものほどより多く下に渡すくらいの覚悟がなければ、組織は永続しないことに気づくべきだろう。別に従業員以下の報酬で役員は働けということではないのであしからず。

(教訓)
〇自分の組織が、軍隊か、宗教か、監獄かを経営者は一度胸に手を当てて考えてみろ。どれかだと思ったら一度解体して作り直せ。
〇強固な組織は、利害関係者の目標が一致しており、ゼロサム的な考え方で利益配分はしていない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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