世界の歴史を題材とした起業家応援メディア

わがまま人材のマネジメントを心がけよ

会話だけ聞いていると、この二人がかつて正規軍の中将と中佐であったとは、到底信じられないであろう。彼らほど有能で、彼らほど異端的な軍人は「自由の軍隊」と自称する同盟軍にあってさえ、中核を占めることはできなかった。イゼルローン要塞であればこそ、ヤン・ウェンリーの麾下であればこそ、彼らは才幹と個性を十分に発揮することができたのである。部下をしてそうあらしめるのが、指揮官の器量、将器というものであろう。

(解説)
この二人とは、アッテンボローとボブランである。組織的には上のいう事に口答えせず、「ハイ分かりました」と機敏に動いてくれる方がありがたい。それ故、社会のことに何にも疑問に思わない人間こそが、優秀な人間として評価される。その社会のことに何にも疑問に思わない人間を創り出す装置が、受験勉強というシステムである。こんなことやって何の意味があるんだ、と疑問に思ってしまう人は、くだらなくて一抜けたとしてしまう。困ったことに一抜けたという人と、頭が足りなくて勉強ができなかった人は、同じ低学歴というレッテルを貼られてしまう。

高学歴を得た人の中には二種類いて、片方は損得勘定、つまり高学歴の方が高収入を得やすい(自分のやりたい仕事に就きやすい)という考え方から、自らの意思で目指した人、もう一方は、上の人等あるいは社会的な雰囲気で、高学歴の方が高収入を得やすい、いい会社にも入りやすいし、といったからそうしたという人である。後者はどちらかと言うと社会のシステムにあまり異論を持たなかった人の割合が多い。そのため、社会的に従順な人たちは、軍隊型の組織には適合する。従い、高学歴であればあるほど、軍隊型の組織ではよく機能する。そのため、現在の受験勉強による評価システムはよくできた制度なのである。

今までの経済ならば、今の組織形態の方が望ましく、その組織形態に適合した人材を集めた方がいい。しかしながら、こうも不確実な時代においては、能力の高い人間をいかに効率的にマネジメントできるか、と言う視点に立った組織運営が不可欠となると思われる。ある一人の人材が、組織の駆動エンジンになりうる人材である。

わがままな人材が有能であるとは限らないが、有能な人材は大抵わがままである。サッカーで例えるとレアル・マドリッドやバルセロナには、天才ばかりがピッチにいる。そのわがままな連中の試合というものは、見るものを魅了する。しかし天才を取りまとめる監督、わがままを取りまとめる監督ともいえるが、効果的に使えるかどうかは、監督次第でもある。もちろん有能な監督であれば、どんな選手でもうまく使えるわけではない。あるチーム、ある監督の下では活躍できなくても、場所を変えれば活躍できるということはある。

これからの組織は、いざというときに誰しもが組織のエンジンやブレインになれる有能な人材を上手く管理できるか、わがまま人材をきちんとマネジメントできるかが問われる時代になるであろう。凡人の数だけ多い組織という軍隊型では、難局を乗り越えられはしないのだ。恐竜が絶滅し、哺乳類が生き残ったのも例えは違うが、そのときに絶滅したのは大型の恐竜であったことを忘れてはならない。組織に従順な人間は、いざと言う時にエンジンにもブレインにもなれない。主体性がないので無理なのだ。

(教訓)
〇図体のでかい組織は難局を乗り越えられない。
〇わがままな有能人材を上手くマネジメントせよ。
〇組織に必要なのは、従順な人材ではなくて、いざと言う時に組織のブレインやエンジンになれる主体性のある人材である。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
SNSでフォローする