世界の歴史を題材とした起業家応援メディア

経営者は他人の痛みに敏感になれ

「また何か深刻に考え込んでるの?」
「責任が大きいからね。中々考えがまとまらなくて」
「ユリアン、あんたを司令官として認めたときに、皆、決断してるのよ。あんたの判断と決定に、全面的に従って。それが嫌な連中は出て行ってしまったじゃないの。いま、遠慮なしにあんたが決断することこそ、期待に応える唯一の道なんじゃないかしら」
・・・
責任を果たすことと、その重圧に押しつぶされること、両社は天秤の両端で釣り合っているようにユリアンには思われる。髪の毛一本の荷重で、天秤はいずれかに傾くだろう。・・・ユリアンが、しばしば義務としてのみ考えることを、カリンは権利に置き換えてくれる。

(解説)
責任が大きいと、容易に意思決定ができなくなる。自分の意思決定で、多くの人を路頭に迷わせてしまうかもしれない。まあ、そんな立派な経営者も多いだろうが、それ以上に多いのは、正直、お前そこまで全く考えてないよな、というのが8割、9割だと思う。最近、経営者の素質は、痛みに鈍感になることだと思わないでもない。これは自分の誤解かもしれないから、その分は割り引いて考えてほしい。自分の痛みに鈍感ではなくて、他人の痛みに鈍感と言う意味だ。もう一歩踏み込めば、他人なんてまあ、どうだっていいや、位な気持ちである。自分の意思決定で、まず自分が得をしなければならない。そしてまあ得をする人が身の周りには結構多くて、より周囲に関しては、利益になる人は利益になるし、損失を負う人は損失を負う、まあ、いいんじゃね~。と思ってるんじゃないかなと思う。どこぞの国のリーダーは。

会社組織だとどうだろうか。大組織ほど何も考えていない経営者はいないようだ。まあ、国が助けてくれるという甘い考えがあるのだろう。それに引き換え、中小企業の方が頭を痛めている経営者はたくさんいそうである。そのときには、カリンの一言、「いま、遠慮なしに決断することこそ、期待に応える唯一の道」と言われると、どれだけ心が軽くなるだろう。

経営者の意思決定を義務と考えると、気が重くなるが、それを権利ととらえるのだ。これについては、大企業の社長ほど、権利と既に捉えていらっしゃる方が多いようだ。そもそも社長になれたのは、自分の今までの頑張りだ、実力だ、ご褒美だと思っていらっしゃる方がすくなくないからね。過去の実績より、これからの実績の方が大切なんだけど、まあ、評価の仕方だから、仕方ないね。いずれにしても、他人の痛みに敏感になれない人はリーダーになってほしくないね。

(教訓)
〇中小企業の経営者で、自分の責任の重さに重圧を感じている人は、その意思決定を義務ではなくて、権利だと思え、大企業の社長はそうしている人が多い。
〇経営者は他人の痛みに敏感になれ

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
SNSでフォローする