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瓢箪から駒狙いのエセ野郎には気を付けろ

「大佐殿、あなたはじつに色々な事実をご存じのようですが、だとすれば、この事態をどう処理すればよいのか、それもご存じではないのですか」
肩越しに、老大佐はヤンを顧みた。
「わしは騒ぎを起こすだけだ。収拾するのは若い衆の役目さ。まあ、脱出路を卿らに教えてやったのだから、それを活用する程度の才覚を卿らに期待してもばちは当たるまいよ」

(解説)
少し、ストーリーの解説をしておこう。同盟の収容所所長であるコステア大佐は業務上横領で私腹を肥やした。事態収拾のために、帝国捕虜ブレスブルク中尉に、帝国への帰還を条件として、焚きつけ、ヤンやパトリチェフ大尉を捕虜に仕立てた(厳密には副所長を最初に拉致させ、その捕虜交換にヤンが応じた)。そしてヤンを抹殺し、パトリチェフに公金横領の罪を着せる予定だったところを、ケーフェンヒラー大佐に見破られた。この事態の処理について、ヤンが大佐に尋ねたわけだ。

ケーフェンヒラーは別に騒ぎを起こしたわけではない。真相を解明しただけなのだが、騒ぎを起こす経営者は少なからずいる。どんなタイプか。大きな話が好きな人がいる。事業も大ぶろしきを敷く。我々からしてみれば、全く想像ができないが、インターネットの次の時代の情報インフラを設置する話。こんなものが実現可能か、とも思う。でもインターネットも一つの会社がインフラを作ったわけではない。それ故、こういう言い出しっぺも必要なのかもしれない。

北海道のある広い土地に、広大なリゾートを作る、という話があった。恐らく経営者というか事業立案者は、瓢箪から駒を狙ったに違いない。リゾートの計画があって、出資者がいる。そう話せば業者は乗ってくる。その土地の所有者も乗ってくる。自治体も乗ってくる。全てのプレーヤーが乗ってきた段階で、出資者を集める。ここで出資者が出てくればよいのだが、大抵出てこない。それでも出資する話を進んでいるように見せて、業者は色々と自分の会社で物資の調達をする。何十億、何百億の話をちらつかせられれば、多少の無理もしてしまう。そしてその顛末は、出資者が現れず、話がおじゃんになる。最終的には建設業者が倒産し、その社長は首つり自殺をしてしまったそうだ。詐欺とは最初から騙すことを目的として金をせしめるのだが、この経営者、もとい事業立案者は騙すつもりはなかったし、出資者が集められなかった、反論としては最初は本当に出資者がいたが、途中で出資を断られて、別の出資者を探していた。

話をかっ散らかすだけかっ散らかし、人を巻き込み、結果として損をさせる。事業立案をして、当事者を全員直接合わせず、話が進んでいるかにように見せて、瓢箪から駒を狙う。こういう奴には気を付けようという事だ。自ら気を付けるしかない。上手い話にはとげがある。コツコツと生きよう。そんなうまい話は転がっていない。

(教訓)
〇かっ散らかすだけ、かっ散らかして、話がおじゃんという瓢箪から駒狙いの経営者、もとい事業立案者には注意せよ。
〇上手い話はそう簡単に転がっていないと心得よ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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