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リーダーの管理できる範囲で拡大せよ

同盟軍の指揮官は四時間にわたって戦場を翔けまわり、戦局を支配し、無数の砲撃を敵に浴びせた、これに対してラインハルトは、三分間に三連射を二度行っただけで、同盟軍指揮官を上官もろとも宇宙の塵と化せしめ、同盟軍を烏合の衆に変えてしまったのである。より長い時間を勝ちつづけ、より広い空間を勝者として動き回り、より多く敵兵を殺した点で、同盟軍指揮官はラインハルトを凌駕していたであろう。だが、その「奮戦」がエネルギーの浪費であり、軍事行動を支える物資が無限であるとの錯覚に基づく、一件派手なだけの一人ダンスに過ぎぬことを、ラインハルトは正確に洞察していた。彼は最後に勝った。最初から勝ち続ける必要などないのだ。

(解説)
サッカーで例えると、ボール保持率、いわゆるポゼッションが相手の方が圧倒的に上で、ほぼ常に自陣で球を展開され、シュートの雨嵐を守備で防ぎ、相手はバーにも嫌われて、試合終了ロスタイムで、カウンターが決まり、その一点だけで勝ってしまった試合のようである。まさに3分間の間に、2回攻め上がることができて、そのコンビネーションは2回ともパス、アシスト、シュートであって、そのうち1度だけシュートがゴールを割ったというところか。

勝負は長い時間勝っていても、最後に負けたら意味がない。ビジネスの状況に例えると、広告宣伝を撃ちまくって、事業拡大を進め、多店舗展開をするA社と、広告宣伝を撃つ余裕がなくて、1店舗だけで経営しているB社。B社は競合に押されまくり、連日、A社の行列にB社は空しさを感じてはいるものの、うちはうち、と割り切っていたところ、A社が不祥事か、何らかのトラブルで、会社が破産して、全店失う羽目になり、何の拡大意欲も持たなかったB社の営む1店舗のみが生き残った、と言うような状況かもしれない。

会社は勝ち続けることではない。たまに負けてもいいから、とにかく生き延びることが大切なのだ。資金調達自体も無限に行えるわけではなく、人材調達も無限ではない。拡大をすることになれば、設備投資も必要だし、人材も育成しなければならない。拡大をすれば、リターンは大きいかもしれないが、経営上のリスクも大きくなる。特に急拡大の組織では、モラルの維持もまた難しい。経営者は無理に拡大することしか考えない。もちろん、多少背伸びをした方が、組織は伸びるし、スタッフに過度に負荷をかけなければ、思った以上には動かない。それが組織的に無理な拡大であれば、どこかにひずみが生じる。

結局は、リーダーが目の届くレベルで拡大しなければならないということである。リーダーの管理が行き届いていれば、無理そうに見える拡大も無理ではない。スタッフの無理は、実はリーダー自体の管理能力の無理である。

(教訓)
〇スタッフには負荷を与えなければ、組織は成長しない。
〇無理なく組織を成長させるためには、リーダーの管理できる範囲にしておかないと、どこかで瓦解する。会社は継続できなければ意味がない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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