低能ぞろいだ。もっともだからこそラインハルトの才華が引き立つというものではあるが、少しは役に立ちそうな人物がいなければ、今度の野心の展開に支障をきたす。彼が総帥、キルヒアイスが副総帥、その他に幾人もの行政官僚や艦隊指揮官が必要なのだ。脳が歩くわけにはいかない。心臓がものを掴むことはかなわない。手足が必要なのだ。この会戦は自分の力で勝つ。ラインハルトには成算がある。だが人材収集の面では期待できそうになかった。
(解説)
自分一人で大きなことはできない。どんな優秀な人であろうとも、自分一人の時間は1日24時間であり、寝ないわけにもいかない。手足も右手左手、右足左足しかない。体は一つしかないし、口は一つ。耳は二つ、目は二つあるが。同時に複数人と、別の場所で別の話し合いをするわけにはいかない。それに人間は疲れる。休む必要もある。
PCやロボット、AI等で自動化することは増やせる。しかしそれでも限界がある。そのため、より大きなことをやるには、組織が必要だ。組織とは人間をたくさん集めることである。厳密にはモノ、カネ、ヒト、情報の有機体である。
起業する人の中には、学生時代にパートナーを見つけられる人もいれば、サラリーマンになって行った会社で意気投合する場合もある。仕事をやっているうちに、外注先の人で気の合う人が出てくることもある。人からの紹介で出会うこともある。
起業を考えている人は、学生時代、一緒に仕事をしたいという気の合う奴を見つけると良い。漠然と起業したいと思っていて、ひとまず社会勉強のために会社に入ったら、そこでも気の合う奴、仕事のできる奴を探すと良い。そして、仕事をしながらでも、外注先で気の合う奴がいたら、合流してもらうのはいつでもできるから、キープしておくと良い。どんなときでも、優れた人材を見つけるためのアンテナは貼っておいた方がいい。
自分の数少ない経験から言えば、絶対的にではないものの、異業種交流会や何らかのパーティー会場で波長の合う人材を見つけるのは、難しいと思われる。悉く失敗しているといってよい。特に酒が入っているときには、相手が大言壮語を吐くからか、何となくすごいんじゃないかと見えてしまうこともある。ひょっとするとこちらの判断基準が緩くなっているのかもしれない。酒が入ったときの方が、素が出ることもあるから、酒が入ったときに人物評価をしてはならないというわけではない。そのときは、親密になってからもう一度場を改めて飲み直してもいい。
(教訓)
〇起業家はいかなる場所でもビジネスパートナーを探すくらいの気持ちでアンテナを張っておこう。
〇異業種交流会やパーティー会場でビジネスパートナーとの過度な出会いの期待は持たない方がいい。