当然ながらホーランドの自尊心は膨張の一途をたどり、もはや最終的な勝利を既定のものとしていた。後にビュコックが評した「疑似天才」は、このとき高揚の絶頂にある。・・・
「戦火は十分。深追いせず後退されたし」
ビュコックも、敵の総反撃を招くより先に、余力のあるうちに後退して全軍の秩序を整えるよう勧告した。
「先覚者は常に理解されぬもの。もはや一時の不和、非協力は論ずるに足らず。永遠なる価値を求めて小官は前進し、未来に知己を求めん」・・・
「なるほど、先覚者は必ず狂人呼ばわりされるものだ。だが狂人が全て先覚者ではないのだがな」
(解説)
実績のない自信家は、その自信家自体は天才だと思い込んでいる非常に厄介な存在である。しかし組織から出て行ってくれれば、組織としては何のダメージもない。組織の中の疑似天才ほど使いづらい人はいないので、早急に出て行ってもらった方がいい。
関わってはならない人間は、自分に予算を持たせてくれれば、どんなビッグビジネスも成功させられると思い込んでいる人間、投資してくれれば間違いなく大成功すると思い込んでいる人間、自分に研究だけさせてくれれば画期的な発明ができると思い込んでいる人間、営業すればどんなものでも売りさばいてくると思い込んでいる人間。過去合ったことのある疑似天才はまだまだいるが、こんなところでやめておこう。
はっきり言って、ビジネスなんてお金が続けば、上手くいく行かないにかかわらず、組織として継続はする。だからどんなバカでも無限の予算を与えれば、組織が維持できる程度にうまくいかない奴はいない。投資してくれれば間違いなく大成功するという奴に限って、根拠のある事業計画書が書けず、しかも投資リターンを考えたことがない。研究環境を与えたところで、自分の好きな研究だけやっていて時間とお金だけ使わせるだけである。セレンディピティが起きるのは運次第だ。営業すればどんなものでも売れるという人間は、どんなものでも売ってくることはできない。恐らくクズな商品を売ってきたことがない。そこそこ売れる商品しか扱ってこなかったと思われる。
疑似天才ほどお金と時間の無駄な奴はいない。まあ、先覚者は理解されないとは言うが、先覚者は狂人であれど、狂人が先覚者であるとは言えない。
(教訓)
〇疑似天才ほど、お金と時間の無駄な存在はいない。ひたすら無視をせよ。
〇先覚者は狂人だが、狂人が先覚者であるわけではない。