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独り勝ちはいけない

「追撃してはならぬというのか、キルヒアイス、どうしてだ?」
「敗残兵の追撃に、ラインハルトさまのお手を煩わす必要はないと思います。ただそれだけのことです」
「・・・なるほど、ただそれだけのことだな、わかった」
ラインハルトは笑って、キルヒアイスの言わんとするところを了解した。ラインハルトは既に彼我の形成を一撃で逆転させるという功績を立てた。帝国軍の勝利は決し、開戦終了後、ラインハルトが勲功第一と認められることは確実である。であれば、敗走する敵を追って殺戮と破壊だけの量だけを誇る類の武勲など、他の提督に分けてやってもよい。ここで残敵掃討の功まで独占しては、他の提督たちの嫉妬と憎悪を買うだけである。

(解説)
サッカーで例えると、チームの得点王が、PKでも俺が蹴る。アシストは一切しない。俺のためにアシストをしろ、と言っているようなものだ。

会社で例えると、組織内で営業成績トップの人が、電話がかかってきたときに、電話対応をやって、その客も落としてくる。あるいは、あまり成績の良くない人物について行って、代わりにトークして自分で落としてきて、もちろんその成果も自分のものにする。

素晴らしいことではあるのだが、組織的にどうなのか。組織的に優勝劣敗があるのはもちろんやむを得ないし、できない奴はやめてくれということを基本路線にしている会社であれば、仕方がない。しかし、ここでやるべきは、営業成績トップの人が、自分のやり方を見せてあげて、契約書はもう一方に出させてあげて、できればその人に営業成績を譲ってあげることではないか。全部でなくていい、一部でいいのだ。もちろん何度もかんどもサポートするようではいけない。サッカーで言うと、PKを譲ってあげて、何度もかんども失敗するようなものだ。それは流石にPKが普通に試合中に蹴れるように練習してこい、と言ったところだろう。

もちろん給料などの成績のこともあるから、営業成績トップの人の役目は、営業部長等の役職付きで個人の成績よりもチームの成績が自分の報酬に反映する人の方が良いだろう。自分が営業しているのに、成績も報酬も一部でも持っていかれたら確かにいい気はしない。

教育するなり、一部そのサポートをした人物には、別途報酬を支払うなどの制度も必要になる。一人勝ちしない報酬制度も、組織力の向上に必要なのだ。

(教訓)
〇組織内で独り勝ちさせない報酬制度が不可欠である。
〇個人の成績を向上させるのために、チームでカバーする体制を整えよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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