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現実的にはすべて金だ

「おい、資金がないぞ。これからどうするか決めてくれ」
・・・事態を革命及ぶにせよ戦争と称するにせよ、それを運営するのは資金が必要だし、さしあたりヤンの手元にアラジンのランプはない。
キャゼルヌがヤンの有人であるポリス・コーネフの人脈を通じてフェザーン商人たちから資金を借りようと提案したとき、ヤンは危惧した。借りた資金は返さなくてはならないし、返す方策も現在ではたちようがない。第一、流亡のヤン不正規隊に対して資金を提供する等、投機と言うさえ愚かな賭博であって、フェザーン人が承知すると思えなかった。
「なに、いったん借りれば、こちらのものだ・・・フェザーン人は利にさとい。俺たちに皇帝ラインハルトを打倒する可能性ありとみなせば、必ず将来に備えて投資してくる・・・そしてひとたび投資すれば、それを無駄にしないためにも、続けて投資せざるを得ない。先に投資した資金、それ自体が双方のつながりを増大させる最初の一滴になる」

彼らは勝算なき弱者に投資するような慈善家ではないから、彼らの保身感覚を麻痺させるために劇薬が必要なのだ。

(解説)
事業をやるのに金はいりませんということにはならない。たまに勘違いしている自称経営者がいるが、他人をタダで使ってはいけない。結局のところ、成功報酬野郎はいかなる場合にも人からの信頼を集めることはできない。それに本当に優秀な人は逆に集まって来ない。なぜそれがわからないのかがよくわからない。そこでケチると、結局は自らが成功するチャンスも失う。自ら成功したければ、自らがリスクを負って投資することしかない。

そうはいっても、お金がないのもやむを得ない。そこで人を集める前に経営者自らが投資家のところに頭を下げに行かなければならない。相当にお金に余裕のある人でなければ、投資は厳しい。そうなると、ほとんどの場合には、投資と言う名の融資になる。だいたいベンチャー・キャピタルだって、投資と言う名の融資をしてくる契約書を締結してくるのだ。実質、お金が返ってこないことは知っているから、実際に返済を迫られて、破産ということはないと思う。現実的には、投資をしてもらうだけでなく、色々な人から融資を受けているだろうから、結果、破産しなければならないことになると思う。

さて、これまた不思議と、後で返すとか、投資をして下さいというと、泥棒に追い銭状態が結構起こる。これは一度お金を出すと、前の投資が溶けてしまうから、その投資を保全するために、追加資金を出してしまうのだ。それがキャゼルヌの言う「先に投資した資金、それ自体が双方のつながりを増大させる最初の一滴になる」というものである。最初から一気にお金を出してもらう必要はない。少しでも出してもらえば、その後で太くなる。まあ、試してみると良い。それがわかっている投資家は、最初からおカネは出さないし、仮にお金を出しても、追加資金は出さないと最初から決めているものだ。

(教訓)
〇成功報酬野郎は、結局自分が成功することはない。
〇泥棒に追い銭状態にするためには、最初は少しだけでもよいから資金を出してもらえ。その後、資金を太くしていけ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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