世界の歴史を題材とした起業家応援メディア

鷹と雀では視点が違う

イゼルローン要塞再奪取は、ヤン・グループにとって至上の命題となったわけである。単なる軍事上の目的たるに留まるものではない、政治的な効果のためにも経済的に生き残るためにも、そしてそれらすべてを複合させた敵市場の奇術の不可欠な要素として、ヤンはイゼルローンへの帰還を果たさなくてはならなかったのである。・・・
一方ラインハルトから見ると、極端なところ、イゼルローン要塞は辺境の小石でしかない。・・・フェザーン回廊と制圧し、フェザーンに大本営を遷した彼にとって、イゼルローン回廊の戦略的価値が減少したのは当然であった。

「鷹と雀では視点が違う。金貨の一枚は、億万長者にとって取るに足りないが、貧乏人には生死にかかわるさ」

(解説)
鷹とは政治家であり、雀とは我々一般人である。一般人にとっての10万円は死活問題だが、政治家にとっての10万円は取るに足りない。そんな人間に政治を任せているのだから、国民の生活に真剣になるわけがない。貧乏人の気持ちがわからぬ人間は上に立つべきではない。

会社の経営者と従業員も似たような関係にある。経理にとっては一円の違いが大問題だが、経営者にとっては一円の違いはそれほど大問題ではない。語弊はあるが、もっと大問題が経営者に付きまとっているからである。経理が一円の違いを気にしない経営者を非難することもあるが、お門違いだ。もちろんその一円のほころびが、企業全体のほころびにつながることはある。だから、経理はやはり一円にこだわるべきだ。

大企業と中小企業も視点が異なる。大企業は大戦略を採らざるを得ないし、それなりの利益が出なければ新規事業を行うことも難しい。しかし中小企業にとっては、ちょっとしか利益が出なかったとしても新規事業をやるべき価値がある。もちろん新規事業をやるためには資金が必要であるから、その分の資金をどうねん出するか、失敗したときの打撃を考える必要は別に生じる。よく大企業はニッチ市場には入って来づらいとはいうが、小さなマーケットしか取れないと分かっているとことに入っていけないのは当然である。そこで、小さなマーケットでは大企業がそれほど参入してこないために、小さな企業にとっての勝機がある。これも鷹と雀が視点が違うという一例であろう。

(教訓)
〇会社の経営者と従業員は、見るべき重要なポイントは異なる。
〇大企業と中小企業も見るべきマーケットが異なる。
〇中小企業にとってニッチ市場は、大企業が入って来づらい分、勝機がある。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
SNSでフォローする