18歳の少将という存在は、確かに異例ではあったが、まだまだ旧体制の人々には、深刻な危機感を抱かせるまでには至らなかった。民衆から滋養分を吸い上げる花々は、花園に咲き乱れ、高い壁は北風をさえぎり、栄華は永遠のものであるように思えていたのだ。その壁に、ラインハルトは、深い亀裂を作り始めていたのだが、外側からだったので、内側に住む人々はまだ気づいていなかった。
(解説)
コロナショックは外側からの打撃であったが、会社の内部にもその破壊力を伝えるにはあまりにも十分すぎるものであった。人間というものは、外圧によって変わらざるを得なくなった時にしか、変わろうとしない。
変わらざるを得なくなった状態でも、変わろうとしない経営者も少なくない。ああどうしようでそのままズルズルと言ってしまう。それで対応策が、融資を受けるという選択肢しかない。ああ悲しからずや・・・。
どんなに順調な会社でも、明日はどうなるかわからない、位な危機感を常に経営者は持つべきだろう。ある程度会社が大きくなってしまうと、役員報酬も潤沢になるし、これが危機感を持つのを阻害するのではないだろうか。常に経営者には、役員報酬とは、税金のかかる永遠なる預り金であると説いている。しかし多くの経営者にとっては、役員報酬は自らへのご褒美ととらえる。甘い汁ばっかりすすっているから、危機的な状況になった時に何もできなくなってしまう。
だいたい主軸のビジネスが一つだけ、何ていうのも、何て恐ろしいんだ、という気にならない方が恐ろしい。もちろん、主軸のビジネスすら出来上がっていないのであれば、まず主軸を作ることが先だが、そのビジネスが、永遠にそのままのはずなんてあろうか。その売り上げが立たなくなることに頭がいかないのが不思議である。
どうしても、主軸のビジネスが手に入ると、その主軸に経営資源を投下した方が効率的である。売上の方法がわかっているから、同じことをやっていれば大抵うまくいく。そこで次に経営者がやらなければならないことは、主軸は今のスタッフに任せて、次の売上を獲得しに行くことだ。いわゆる新規事業である。1年に一つぐらい仕掛けていかなければ、ダメだ。それでも足りないと思う。10個に1個しかうまくいかなければ、10年後にようやく一つ立ち上げるペースだからだ。
経営者が危機感を持ち続けることによって、頭も活性化する。経営者は永遠に楽をしてはならないのだ。
(教訓)
〇経営者は常に危機感を持って、新規事業を立ち上げ続けろ。
〇役員報酬は有税の預り金だ。会社がコケたら会社に返さなければならない。報酬ではない。勘違いするな。