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企業機密が漏れることを前提とした仕組みづくりをせよ

同盟軍の前線部隊における補給と事務処理の最高権威は、シンクレア・セレブレッゼ中将であるとされてきたが、彼は「ヴァンフリート星域の会戦」と称される、ダラダラ続いた戦闘の渦中で行方不明となってしまった。どうやら帝国軍の捕虜にされてしまったことは疑いないが、捕虜交換式でもない限り、それを確認するすべはない。だが、いずれにしてもセレブレッゼの空席は埋められてしかるべき出会ったし、さらにはセレブレッゼが捕虜となって軍事機密を帝国軍に告白した場合に備え、セレブレッゼとは異なる補給と事務処理の独自なシステムを確立し得るだけの才能が必要であった。こうして、アレックス・キャゼルヌ准将が、後方参謀として、事実上、同盟軍の物資供給を取り仕切ることになったのである。

(解説)
セレブレッゼは、ラインハルトによって捕虜にされた。そしてセレブレッゼの代役としてアレックス・キャゼルヌ准将が補給部の後方参謀として任命された。戦争のような状況下では、捕虜になった時に、機密が漏れる可能性が高い。

現代のビジネスにおいても、企業機密とはあるものであって、それを漏洩しない仕組みが築かれている会社も少なくないだろうが、往々にして、企業機密とは人から漏れてしまう。特に、転職でもされようものならば、間違いなく漏れる。それを機密保持で守っても守り切れないものもある。

人の記憶にはあいまいなものが多い。そのためセレブレッゼが全て話ができたところで、それが正確かどうかはわからない。また、一つの企業機密で、その企業が瓦解するようなことを個人に持たせていることも問題であろう。

程度問題であるが、企業機密が漏れることを前提とした制度設計も必要と思われる。もちろん機密が漏洩しない仕組み、法律上で防御することも当然必要ではあるが。

同盟軍は、セレブレッゼが構築した既存の仕組みとは別の仕組みを作ろうと試み、キャゼルヌを任命したのである。新しい仕組さえ作れば、既存の仕組みに関する情報は陳腐化するし、その情報を受け取った方が真に受ければ、かえって嵌めることもできるだろう。

情報とは人を介して漏れることを前提とし、漏洩しない仕組みづくり、漏洩した後に、それを防御したり、あるいは無効化する新たな仕組みを作る、こういった攻守両面で企業機密を守っていかなければならないのだ。終身雇用がなくなった以上、情報は転職によって漏れる。

(教訓)
〇終身雇用がなくなった以上、企業機密は人を介して必ず漏れる。
〇法律等で①機密が漏洩しない仕組みづくり、②漏洩した後で防御する仕組み、③漏洩した情報を無効化する仕組みを構築せよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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