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総務部長に営業の指揮をとらせるな

軍務尚書オーベルシュタイン元帥は、軍官僚あるいは参謀としての名声は高いが、実践指揮者としては経験も声望も不足している。少なくとも、実践指揮官たちは、そのような認識を共有していた。オーベルシュタイン元帥の麾下には、当然ながら、実践指揮官が配属されることとなる。何者がその任に当たるのか、諸将を落ち着かせぬ人事が発表されたのは、翌二六日であった。
「なんで俺が、オーベルシュタインの指揮を戦場で受けねばならんのだ。俺は自分の失敗には責任を取るが、奴の失敗まで引き受ける気はないぞ。奴は軍務省のデスクの前で生きてきたのだから、死ぬときもデスクの前で死ねばいいのさ」

(解説)
イゼルローンの攻略に、オーベルシュタインがトップに立ち、その下にビッテンフェルトが付いた。そこでビッテンフェルトがオーベルシュタインの下に着くことを不平不満に思ったのである。

本来ならば、この役はロイエンタールだったはずなのだが、地球教の陰謀にはまって、ラインハルトに叛逆する羽目になり、ミッターマイヤーに斃された。元帥格がミッターマイヤーとオーベルシュタインであり、なんといっても軍務尚書、という軍人で最高位にあるわけだから、オーベルシュタインがトップに立つのも組織的には当然なことである。

会社組織で言うと、総務部長が営業部長になって、営業を指揮するというノリだ。営業をやってきた人間からすると、なんで総務のおっさんが営業なんてやってこともなくて、わかるわけないのにしゃしゃり出て来るんだと。さらには、実質、ビッテンフェルトが軍事の最高位だから、オーベルシュタインの命令に従って、失敗したらどうするんだ、といったところだろう。

営業もやったことがないような総務部長に営業を指揮させてはいけない。組織運営のイロハのイである。ラインハルトも病気がちであったからやむを得ないが、ラインハルトが本国で遠距離通信にて指揮はするものの、実質的にビッテンフェルトを信頼して全権を委任すとるいうのが最適な人事だったと思われる。つまり、会社の組織的には、部長職が何らかの都合で、いなくなったときには、他の部署の人間をスライドさせるのではなく、社長が下位の任務を担うべきである。もちろんその他の部署の人間が、部下からの信頼を得られているならば話は別だ。経験に勝る信頼はない。

(教訓)
〇上位職の職責が何らかの理由で不在の時には、さらに上位の職責が担うことになるが、極力社長であることが望ましい。そのときは現場の人間に全権を委任して信頼すること。
〇経験に勝る信頼はない。総務部長に営業を指揮させるな。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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