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以前の勝ちパターンにこだわるな

「卿にはわかっているはずだ、ミッターマイヤー、昨日正しかった戦略が今日も正しいとは限らぬ。ヤン・ウェンリーが生きているときに取るべきだった戦略が、死後も最大の価値を有し続けるとは言えぬ。」

(解説)
ヤン・ウェンリーが暗殺され、政略的にはイゼルローン要塞に立てこもっている残党を処分し、ラインハルトの支配下に組み入れる、というのが正しい戦略だが、元々、ミッターマイヤーにしてもロイエンタールにしても、イゼルローン攻略は反対していた。イゼルローンを攻略したところで、ラインハルトの支配に関しては大差がない。無駄なことに戦力を割き、兵士を死なすよりは、無視をしていていい位のレベルであった。

ラインハルトが、それでもイゼルローン攻略にこだわったのは、ヤンとの決着を付けたいという個人的な理由だけしかない。結局のところ、ヤンは地球教に暗殺され、帝国側としては、「勝ち逃げ」されてしまったことになってしまった。

ロイエンタールはいう。「昨日正しかった戦略が今日も正しいとは限らぬ」と。ヤン亡きあとは、そもそもイゼルローン攻略にはまったく意味がないのだ。

ビジネスの世界において、昨日と今日がそれほど異なるということはそれほど多くはないが、コロナショックはそれに近いパラダイムシフトを我々に要求している。テレワークが当たり前でない社会に、いきなりテレワークが基本である。

もはや外的影響によって変えざるを得ない場合には、それほど心配することはない。何故ならば、変化しなければならないことを自覚しているからだ。一番問題になってくるのは、こんな時代にもかかわらず、過去の成功事例にとらわれている人間である。なまじ、一度成功した人間の方がたちが悪い。柳の下の泥鰌を狙うからだ。あのときはこういうやり方で上手くいった。だから、こういうやり方が一番自分には合っているとか思い込んでいるが、ビジネス自体も、宝くじ当たった系の仕事と言うのが少なくない。自分は別に普通にやっていたら、たまたまうまくいってしまうと、運が良かったのではなくて、自分に経営の才能があったと勘違いしがちである。

はっきりいおう、成功者のほとんどが、経営者としての実力や才能よりも、運が良かったことの方が大きい。だから、時代が変化した場合、やり方自体を変えないとうまくいかないのだが、それに気づかない。パラダイムシフトが起きた現状では、以前上手くいったことのない人の方が、案外うまくいくかもしれない。もっとも、過去、成功した人で、自分は運が良かったことを自覚しつつ、時代に応じた方法を考えて、行動に移すことができた人はこの限りでない。一番危ないのは、以前とやり方を丸で変えないことである。

(教訓)
〇昨日正しかった戦略が、今日も正しいとは限らない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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