世界の歴史を題材とした起業家応援メディア

組織に不平不満分子はいない方がいい

「ユリアン、私はヤン艦隊における最後の任務をこれから果たすつもりだ。君の許可をもらいたいのだが」
「どうなさるのです、ムライ中将?」
「不平分子や動揺した連中を引き連れて、イゼルローンから出ていく」・・・
「今、私が離脱を公表すれば、動揺している連中は私の元に集まってくる。ムライのような幹部でさえ離脱するのだから、と言う形で自己正当化ができるからな。私が何を狙っているか。分かってもらえるだろうか」・・・

エル・ファシル独立革命政府の委員たちが、半ダースほど顔と表情をそろえてユリアンを呼びつけたのは、その日のうちだった。・・・
「悪く思わんで欲しい。元々エル・ファシルの独立自体、ロムスキー医師の独走による部分が大きかったのだ。吾々は彼の作り上げた雰囲気に引きずられて勝算のない革命運動に巻き込まれてしまった」

(解説)
一件、ムライ中将は、イゼルローンのヤバい状況から逃げ出したいというだけの人物にも見えるが、本音はそうだったのかもしれないが、別の役割がそこにあった。

会社経営も順風満帆ということはない。あるベンチャー企業が上場を果たしたとしても、そこからまた苦難の度が始まる。経営者の経営手法によっては、ジェットコースターにもなり得る。拡大志向の強い経営者であれば、過度な事業リスクを負い、危機的な状況を迎えることも少なくない。

拡大志向が強ければ強いほど、スタッフの中には不平不満を持つ者も少なくない。スタッフに無理のしわ寄せが行っている場合がほとんどだからだ。自らの責任を果たすために休日出勤や午前様ということが珍しくもない。だから不平不満が溜まりやすい。自らの疲れやストレスによって、経営手法まで問題視する。それでも、自分の将来性に疑問を持つことなく、しかも双頭の報酬をもらっていれば、不平不満があっても、それが形になって表れることがない。しかし、一度、会社経営が傾くと、一気に逆スパイラルを描き出す。

今まで内面に隠れていた不平不満が外に現れる。誰かが外面に表しだすと、それは一気に組織に拡散する。時には手遅れになることもある。ムライ中将は、その不平不満分子を、幹部である自らが辞めることによって、外に連れ出す役目を背負った。不平不満を言うならば、さっさとやめればいいのに、給料をもらえる場合は中々やめようとしない。

会社がダメになったら、不平不満を持っている人間には、さっさとやめてもらった方がいい。不満病と言うウィルスによって、そこまで不満を持っていなかった人が不満を持ち出したり、モチベーションを無くしてしまうよりはマシである。

やる気のない人間もいらない。大抵、やる気のない人間は、自分で希望して入社したにもかかわらず、ある人に誘われて、とか、こんなはずではなかった、とか話をし出す。とてもかまってはいられない。組織に自主性のない奴はいらないのだ。というか自主性のある奴は組織の下に収まってはいないのであるが。

(教訓)
〇不平不満をいう奴は組織にいなくなってよい。会社が危機的な状況になった時が、一掃するチャンスである。経営者は危機的状況を大いに活用すべし。組織に必要か不要かを知る良い機会である。
〇不平不満病は組織内のウィルスである。やる気がある人間のモチベーションを奪うこともある。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
SNSでフォローする