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組織の腐臭は元から絶て、我慢の必要なし

たぶん、国家にも医師が必要なのだ。医師の義務は病状を正確につかむことが、その最初のものであろう。社会の疾患や国家の欠陥に対して目をつぶり、権力の腐臭に対して鼻をつまむような人間は、相手が腐るのに応じて、自分自身も腐っていくだけのことである。

だが、そのような名医も、患者を永久に生かしておくことは不可能である。ゆえに国家が滅びるのは必然である。放置しておけば、短命に終わり、改革と自浄作用を重ねていけば長寿を保つことができるだろう。永遠はありえない。永遠を望む必要もない。「できるだけ長く、健康に」というのが最大限の政治的願望であろう。

(解説)
国家における医師とは本来、国民が投票によって行うべきだが、社会の疾患や国家の欠陥に対して異議を唱えることもなく、むしろ異議を唱える人間の言論を封殺している。まあ上から下まで腐っているのが現実のようである。半世紀前から変わる気配もない。

さて、会社にも医師が必要なのだが、全く同じく、不平不満はたれども、新橋のガード下で飲んで騒いで終わりだ。直接不平不満でも言おうものならば、ブラックリストに載って、たこ部屋に入れられ、お払い箱である。そんな会社なんて潰れてしまうだろうと思うが、どっこい、しぶとく生きている。この世に神も仏もあるものか。そのたこ部屋に入れられ、転職を余儀なくされた人物は、その会社にいたら、腐ると思ったのだろう。腐った組織には、その腐臭に耐えられる人間しか居残れない。それはそれで正しいのだ。

結局、組織には内部からは名医が誕生しないのである。ありうるとすれば、会社が危機的な状況に陥って、外部から名医を呼んでくる必要がある場合である。いわゆる企業再生である。企業再生の場面に至っては、その腐臭の原因である、現経営者自体を追放することになる。外部人材が名医になるかどうかは、実際はやってみないと分からない。変えようと思ったとしても、良い方向に進むかどうかはわからない。改善ではなく改悪になるかもしれない。しかしそこで変えようとしてやったことには必ず意義が残る。

組織は常に改革と自浄作用でしか、長寿を保つことができない。変化無くしては腐る以外にはない。組織の腐臭原因を作っているのは、大元の経営陣だけではない、それに異を唱えない、つまり変化を恐れる人間そのものが腐臭の原因を作っている。

(教訓)
〇組織を腐らせるのは、経営者だけではない。その腐臭に鼻をつまんでごまかそうとする、変化を唱えない部下も同罪である。
〇組織は改善と自浄作用によってしか、生き永らえない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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