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辛勝と惜敗を積み重ねるのが成功への近道

フレデリック・ジャスパーは、精悍で鋭敏で直線的な男だった。「行進曲ジャスパー」と呼ばれたのは、ダイナミズムに富んだその用兵ぶりにある。小気味のいい戦術家で、勝つときはまことに派手であった。負けるときもむろん派手で、この男にはKO以外の終わり方というものがなかった。
「中途半端は、俺の主義じゃない」
彼の辞書に「快勝」はあっても「辛勝」はなく、「惨敗」はあっても「惜敗」はなかったのである。奇妙なジンクスを彼は持っていて、二つ続けて勝つと三度目はどういうわけか必ず負けた。

(解説)
個人でやっている分には、ギャンブラーのように、大勝と大敗の繰り返しでもいいのだ。まさにジェットコースター人生。しかしこれが組織のリーダーとなると、そんな大勝と大敗の繰り返しでは、そのスタッフが持たない。大きな勝ちを狙うためにはそれだけリスクの高いことを仕掛けなければならない。はっきり言おう、ハイリスクハイリターンとは理屈だけの話であって、ハイリスクを負ったら、大失敗で終わり、以上である。

ビジネスとはギャンブル的一面もあるのだが、ギャンブルそのものではないのだ。大勝負に出て、大負けを繰り返すと、借金も増えるから、結果、大勝負しかできなくなる。大きなことを言う奴は、最初はそこまで大きくなかったのかもしれない。しかし巨額の借金を返すために、大きな仕掛けを仕掛けないとどうにもならなくなる。その結果口だけ大きくなる。いわゆる大風呂敷を敷くようになる。その結果、そんな大それたことなんて上手くいくわけないと見透かされて、資金調達も難しくなるのだ。

組織を預かる身となったら、心がけるべきは、辛勝と惜敗を目指すことだ。野球を見ていてもわかる通り、チームを本当の意味で強くさせるのは、辛勝ではないか。1点差で緊張感のある試合運びの中で最後に勝利することが、船種にとってもチームにとっても、本当の意味で強くなれる。接戦に弱いチームで、最後に日本一になれた球団はどの程度いるか、皆無に近いのではないだろうか。

組織もそれと同じだ。継続することに価値があるし、組織として強くなることに価値がある。大勝と大敗を繰り返していると組織は育たない、というよりも誰もついてこなくなる。惜敗が続くのも問題だが、惜敗であればリカバリーもできる。ビジネスはギャンブルではないことを認識せよ。

(教訓)
〇ビジネスはギャンブルではない。大勝は狙いに行くものではない。ラッキーで得られるものでしかない。
〇本当に組織を強くするのは、辛勝と惜敗を重ねることだ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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